【投稿】アマゾン・ボイコットを! 

【投稿】アマゾン・ボイコットを! 

 以下に紹介する公開書簡の筆者であるエルズバーグ博士は、周知のように、1971年、ベトナム戦争当時、いかにこの戦争が勝算のない、泥沼に引きずり込む、人々を欺く戦争であるかを、戦争遂行者である幹部自身の発言や行動によって具体的に暴露し、後にペンタゴン・ペーパーズとして知られるようになった米軍の最高機密報告書を内部告発し、ベトナム反戦運動をさらに拡大させ、戦争終結に大きな役割を果たしたことで知られる。当時のニクソン政権は、ペンタゴンペーパーズのニューヨークタイムズ等、新聞への掲載を国家機密文書の漏洩であり、国家安全保障に脅威を与えるとして、氏を「アメリカで最も危険な男」と呼んで指名手配し、氏は窃盗、情報漏洩の罪で起訴され、反逆罪でも起訴されかけたが、「政府の不正」の前に裁判は却下された。
 今回の国際内部告発サイト・ウィキリークスの米外交機密文書漏洩事件に際しても、オバマ政権は、「公電暴露は国際社会への攻撃」「米国の財産を盗んだ」「これは犯罪だ」「国家安全保障に脅威を与える」として、政権自身の犯罪的行為を棚に上げてウィキリークス攻撃に必死であり、圧力をかけ続けている。以下の公開書簡は、エルズバーグ氏自身のホームページに発表され、ウィキリークスのサイトに掲載されたもので、以下に仮訳として紹介するものです。(生駒 敬)
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ダニエル・エルズバーグ 2010/12/02
アマゾン・カスタマーサービスへの公開書簡

2010年12月2日

 私は、本日アマゾンが、ジョー・リーバーマン上院議員や右派議員の脅しに直面して、ウィキリークスのウェブサイトのサーバー利用を抜き打ち的に終了させるという、その卑劣さと奴隷根性に愛想をつかされてしまった。私はこれ以上、司法当局や行政当局が熱望している、あの中国の恣意的な情報の統制と内部告発の遮断を奨励するような、そんな企業とは一切付き合いたくはない。
 ここ数年私は、アマゾンから新刊および中古書籍を月100ドル以上も消費してきた。しかしもうこれでおしまいである。私はアマゾンに、私の優待会員登録とアマゾン・クレディットカードならびにアカウントを終了し、同社のファイルから私との取引およびクレディット情報を削除し、今後一切の通知を送らないことを要求するものである。
 私は、他の多くのアマゾンの利用者が私と同様に感じ、私と同様の対応を行っていることを承知している。より広範で、よりすばやいボイコットが望まれるし、ベターである。お互いに連携し合い、ボイコットを広げ、アマゾンに自らの事業を掘り崩していることをしっかりと知らせることが望まれる。私は本日、友人たちに代案を提起することを要請し、パウェルブックスやハーフプライスブックス、ビブリオ等々への乗換えを追求するつもりである。
 アマゾンからの乗換えがさらに進行するならば、アマゾンが行った行為を公開で釈明せざるをえない事態に追い込むであろう。そうすれば、アマゾン内部で、事態を把握し、持ち込まれた政治的圧力と、それに対する同社幹部たちの権力者に額づく軽率な追従の詳細を証拠立て、その情報をリークするよい機会となるであろう。彼らはそれをウィキリークス(現在はそのサーバーはアメリカ外にある)に送ることもできるし、名の知れたジャーナリストやブロガー、あるいはまた、アマゾンとの間の書籍購入を打ち切ったアンチウォー・コムのようなサイトに送ることができるであろう。

貴社(もはやそうではないが)へ
ダニエル・エルズバーグ

【追記】12/16、この書簡の筆者・エルスバーグ氏(79)が逮捕された。ワシントンのホワイトハウス前で、アフガニスタン戦争に反対する抗議活動が行われ、雪が降る中、数百人の人々が「戦争をやめろ」と気勢を上げ、デモは平和的に行われたが、終了後、警察から解散を指示された後も立ち退かなかったという理由で131人も逮捕され、その中にエルスバーグ氏も含まれていたのである。同氏はデモ前に会見を開き、ウィキリークスの活動とペンタゴン・ペーパーズ事件には共通点があり、その内部告発情報の公開は「大きな称賛に値する行動だと考える」として、「ウィキリークス」支援の呼びかけも行っていた。 

 【出典】 アサート No.397 2010年12月24日

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