【投稿】公務員賃金改悪攻撃続く —-人事院、地域給の導入の勧告—-
小泉自民党政府は、郵政民営化の影で、着々と公共ーサービスの縮小、公務員賃金の大幅改悪を狙っている。
まずは、スケープゴートとして登場したのが、大阪市役所厚遇問題なるものである。各種手当や福利厚生が民間に比べ、厚遇であるとのキャンペーンを張り、削減を強行。挙句の果てには、現場協議などで確立していった「実力専従」を剥奪するといった、労働組合つぶしに奔走している。
この大阪問題に端を発し総務省は、7月19日、すべての都道府県、市区町村を対象とする「職員団体に係る職務専念義務の免除等についての調査」の実施を要請した。時間内組合活動の規制から自治労解体攻撃へと権力の意図はミエミエである。蛇足になるが、自民党の武部幹事長は、この間の定例記者会見の中で「公務員制度改革は、わが党の公約です。これを実行・実現していくために、障害になっているのは労組である」「地方行政の中で、自治労がその影響力を強めると、行政が如何にゆがんでしまうかという教訓でもあり、このままでは、自治労が地方自治体を滅ぼし、ひいては国家の存立さえ危うくするのではないかと心配する。」などと発言している。ここに権力の側の攻撃の意図を見ることが出来る。
組合側の脇が甘いとか、いくらでも批判は出来るが、今起きていることの本質は、「大増税路線」、特にサラリーマンへの増税といった政策へ突き進もうとする権力の側が、「悪いのは公務員だ、言うことを聞かない公務員の組合だ」とレッテルを貼り、労働者を分断し国民の目をごまかす以外の何者でもない。かっての国労解体攻撃の焼き直しの感もある。
そして、第二弾として登場したのが、民間賃金の低迷、格差の拡大といった背景に行なわれている、地方の公務員の給料は高すぎるといったキャンペーンと人事院による地域給与の導入である。地域給与とは、全国の公務員の賃金を押しなべて5%削減し、首都圏など一部に手厚くし、地方の給料はおおむね削減となる、権力の側にとっては都合の良い制度である。国家公務員の場合には、あくまで官民格差の配分問題(地域給の導入で余った原資は、広域異動手当など他に使う)であるが、地方公務員の場合は、東京23区などを除いて全国ほとんどの地区で大幅な給料ダウンが避けられない状況である。
自治労は、各地方からの上京上申行動など大規模な闘いを組んだ。特に賃金の削減必至となる各地方県本部は、本部動員を上回る取り組みなど積極的な行動をとっている。
このニュースの発行される頃には、地域給導入を含めた人事院勧告が出されると思うが、各自治体での導入阻止に向けたたたかいは、これからが正念場である。
以上のように、今回の攻撃は、新たな質と規模を持ってかけられている。
今までは、自治労は、どちらかといえば、二番バッターか三番バッターで、攻撃の矢面には立たない。また、産別組織ではなく単組連合体のため、なかなか権力の側の攻撃も浸透しない「もぐら叩き」のようなものだった。しかし、今回は前述の自民党幹事長発言にもあるように、権力の側は、100万自治労を潰すか、変質させる、このことを明確に意図している。だとすれば、我々も腰を据え長期戦も覚悟でたたかっていくしかないであろう。使い古された「総団結」という言葉はいかがかと思うが、役員選挙や全国一般との組織統合問題、もめるのもいいが、そろそろまとめに入ったらと思うのだが・・・・。 (東京 A)
【出典】 アサート No.333 2005年8月13日