【コラム】ひとりごと–市町村合併に思う–
○全国的には市町村合併が進んでいるようだ。合併特例債などの誘導策に乗った例も多い。○大阪府でも、様々な動きがあったが、結局「堺市と美原町」の合併が残っただけとなった。大阪南部地域では、8月22日に行われた住民投票で、3市2町の合併問題では、3自治体で合併反対が多数を占め、合併協議会の解散となった。同日行われた岸和田市との合併を問う忠岡町の住民投票でも、反対派が選挙さながらの反対運動を繰り広げた結果、合併反対が多数となり、合併はご破算となり、町長は辞任を表明する事態となった。○さらに、9月19日に行われた門真市・守口市合併の住民投票では、守口市で反対が圧倒的多数、門真市では投票率50%に達せず、非開票となって合併は頓挫した。○確かに合併議論は複雑で困難が付きまとう。3000と言われる事務事業の比較シートを作成し、さらに合併後の住民負担や各種制度を巡っては、不利益となるケースも多い。言葉の上、数字の上では「10年後には豊かになりますよ」というのでは説得力もない。○私の立場は、合併には是々非々の立場である。要するに住民の選択の問題だからである。さらに言えば、地方分権が言われながら、合併議論では住民説明会と言う形は取られているが、市民参加の議論の場が設けられたという話は聞かない。行政主導で進められる場合が圧倒的に多い。現在の合併問題が、時限立法であり、手続きを急がざるをえないことも、原因のひとつでもある。○昨年来の補助金削減、そして三位一体改革の影響、不景気を反映しての各種税収の激減の中で、合併特例債に望みを繋ごうとする行政姿勢が目立つわけだが、合併にしろ財政再建にしろ、その選択を住民がしっかりできるよう、問題整理と情報公開を進めることが重要だと思う。○さらに、求められているのが、首長の政治姿勢と資質と言うことになる。合併を推進したのに住民から否決されると言う事は、明らかに首長不信任だということを認識できない手合いが多すぎるのである。(佐野秀夫)
【出典】 アサート No.322 2004年9月25日