【新春対談】吉村先生を訪ねて
新年1月10日、編集委員のメンバーで吉村励先生を自宅にお尋ねしました。2年ぶりの訪問でしたが、吉村先生ご夫妻ともにはすこぶるお元気で、和やかな時間を過ごすことができました。以下は、是非とも先生が皆さんに伝えておいてくださいと言われた点について、佐野の責任で文章化したものです。
<米軍のマイノリティ比率は>
吉村:アメリカのマイノリティが、人口比で25%であるが、ところが陸軍の兵士の割合ではマイノリティの方が高い。海兵隊や航空関係になると比率が低いという報道がありましたね。だから、差別がちゃんと出てきているわけです。
生駒:リンチ上等兵の事件が出た時に報道されましたね。奨学金や特典を求めているのはマイノリティなんですね。
吉村:スクラップを取っているんですが、4月11日の朝日新聞ですね。
佐野:日本の自衛隊にも、良く似た構造があります。
生駒:都会からではなく、九州の宮崎、鹿児島が多い、という話もありますね。
吉村:そこは、また自民党の独占区であったりするんですね。
(マイノリティの比率は人口比25%に対し、兵隊は35%、陸軍では45%、空軍では逆に低くなっている。)
<戦闘地域は、攻める側が決める>
吉村:皆さんへの年賀状に書きましたね。この頃は、ゲリラと言いますが、われわれの時代はパルチザンと言いました。毛沢東の持久戦論にも出てきますが、相手が圧倒的に優勢な場合にはね主力の損傷を避けてね、衝突を回避する、そして相手が平坦線だとか一定の場所でこちらが優勢な場合に、そして人民の海に隠れて攻撃すると。その通りですね。人民の海を消さないかぎり「テロ」には勝てないわけです。爆撃するなんて言うのはもっての他のやり方ですね。背景に人種差別があるように思います。アフガンでもそうだったですが爆撃をすれば、きっちり目標だけというわけにはいかない。
非戦闘地域かどうか、という議論がありますが、それは攻撃する側が決めることですね。こっちが決める事ではない。明日は戦闘地域になっている場合があるわけです。中国大陸での旧日本軍もベトナムのアメリカ軍もそうでしたね。
<総選挙の評価について>
吉村:是非あなた方に言っておきたい事があるんです。総選挙について総括しましたか。小選挙区の票を分析するとね、51の選挙区で社民党と共産党が民主党を押しておれば、自民党・公明党の候補が落選しているわけですね。自民党候補の当選した選挙区の票を調べて見たんですね。
民主党の憲法に対する態度がはっきりしないとか言って社民党や共産党はね、二党政治になって意見が消えると言っている点について議論があると思います。長い間続いた自民党を潰して自民党にくっついている高級公務員、政管の癒着を断ち切る事が当面第一位であって全力を挙げるべきですね。だから、共産党も方向を間違ったから敗北したわけですね。むしろ連携してね、自分たちのいい所では票をもらってね、51区で逆転が起れば、自民党を下野させることができたわけです。そして権力を握ったら、これまで自民党のやってきたインチキや利権が暴露されるわけです。
<社民党と共産党が自民党を助けた!>
私もびっくりしましたが、奈良の一区、二区で民主党が当選しましたね。私も候補者を知らないくらいでね、どうせあかんやろうけれど、民主党にしておこうとね。やっぱり我々が思っていたよりもね、(支持が)高いわけです。信頼していいと思うんですね。
佐野:我々も、座談会をしましてね、同じような議論をしています。
吉村:もし逆転が起っていたら、民主党もイラク派兵は反対と言っていたわけだから。
公明党は自民党を助けて88勝たせたと言っているわけですね。そうすると、社民党と共産党が自民党を助けたということになるわけです。それをはっきり言ってほしい。
佐野:私も同じ意見で、自民党を倒した後で、各党は競えば良いわけですね。
吉村:それよりもいい事は、民衆自身が自信を持つことです。
<未だに党内議論を認めない共産党>
吉村:友人に共産党の人もいるが、これまで意見の違うものを修正主義者だと放り出してきたから、一般人民は思想の違いで弾圧するのでは、と思うのは当然なわけだ。それを持っていて人民の代表とは言えないですね。それを言うとね、彼らは、未だに「それだけはね・・」というわけだ。
生駒:結局社会主義崩壊の原因がそれですよ。
吉村:私の場合も、いつのまにか、「あなたは党費を払っていないので、党籍はない」という形で、放り出されたわけですから。小野さんの問題でがんばったことが原因ですね。そして、4・17ストで意見書を出したら、「貴方には党籍がありません」と言われたわけで、査問はなかったわけですが。
生駒:極めて事務的で、官僚主義的な対応ですね。
佐野:4・17と言うことは、1964年ですね。・・・
などなど、様々な問題について2時間にわたってお話を伺うことができました。2月が誕生日で82才になられる吉村先生はとてもお元気で、議論を楽しみにされているように感じられました。吉村先生、ありがとうございました。(佐野秀夫)
【出典】 アサート No.314 2004年1月24日