【投稿】国鉄「四党合意」問題と国労8.26続会大会
<大会で問われた課題は組合内民主主義の保障と苦肉の策の全員投票>
7月1日に開催された国労第60回臨時大会は定刻より5時間遅れ開催されたが、混乱のため休会とされた。それをうけて、8.26の続会大会が開催された。続会大会では解雇された1047人の今後の処遇を巡っての四党(自・保・公・社)合意(ア 『JRに法的責任はない』ことを国労が明確に表明する、イ 解雇されたものについては人道的な見地から解決する)を国労が大会で承認することが執行部側から求められたが、結局は高橋委員長の提案によって、4党合意の承認を全員投票で決着をつけることになった。また、予想された執行部の辞職はなされず、次回定期大会にて表明するとのこと。
今回の続会大会で最も杞憂された、執行部による中央突破=強行採決は回避され、とりあえず国労の分裂、闘争団と国労執行部との乖離は避けられた。規約にない全員投票を提起した国労執行部の『苦渋の選択』は、理解できないでもない。反主流派も規約のミスをつくことなく、概ね混乱なく続会大会は終了した。
<四党合意は妥協策>
そもそもなぜ4党合意がなされたのか、その論議経過は明らかではない。しかし、国労をめぐる状況を考えると、国鉄の分割・民営化からすでに13年、解雇者=闘争団も多大な犠牲を強いられてきている。組合員は3万にもみたず、国労のJR内での発言権はかつての面影すらない。分割民営化を巡っての修善寺大会から情勢は大きく変化した。1989年には連合が結成され、JR総連、JR連合も連合に加盟した。政治も、政党再編成がなされ、社会党は解党し、民主党が野党第1党になり、4党合意の当事者である社民党は衆議院でわずか20名しかいない少数党になっている。
また、JR総連との確執がJR内部で大きな課題にもなってきた。そして、そのJR総連との対決から、JR連合との再統一も視野に上っている。分割・民営化の結果生じた問題を乗り越え、今の課題を解決する体制が求められている。
そんな状況で4党合意が出てきた。この合意はいわば政治決着である。政府・JRにしても、昨年のILO勧告、それに同意した連合、「国労組合員の解雇はJRによる不当労働行為」との各地での地労委決定など相次ぎ、政府にしたらいよいよ最後的な決着を迫られる状況と反主流派はいうが、問題は簡単ではない。地労委決定を覆す高裁判決もでている。むしろ、状況は膠着状況といったほうがいいだろう。今後どれだけの時間がかかるのか不明だ。「完全勝利」の確信が持てない状況で、しかも時間がかかるとすれば、妥協はありうる。ただ、国労執行部は拙速であってはならない。修善寺大会のもたらしたものは組織分裂であった。これ以上再分裂しては運動路線以上に意味をなさない。栄光ある国鉄闘争の歴史を誇る国労の分裂は避けなければならない。そういう意味で今回の「全員投票」は問題の先延ばしではあるが、意味はある。定期大会の10月までの間、執行部は反対派への説得に最大限努力することが求められる。(立花 豊)
【出典】 アサート No.274 2000年9月23日