【投稿】私は、「主張」したい
「青年の旗」が、「ASSERT」に改題され、新しくスタートされたことを心から歓迎したいと思います。私自身は別の名称を提案していたのですが、印刷された文字を見てみると、新鮮な印象を受けました。そして、題字の横のスローガンも外して、「改革と民主主義をめざす」とだけされたことに対して、大賛成です。今は、誰かが、「旗」を振って「この指とまれ」の時代ではありません。一人一人が、多くの資料と情報を基に、分析と考察をして、自分なりの意見を持ち、それらを出し合いながら、社会の変革に寄与していくことが、求められています。「社会主義国ソ連」の崩壊は、私たちに多くの真実を知らせてくれましたが、以来、私自身は、「民主主義の重要性」を改めて強く認識するに至っています。民主主義を守り発展させるためには、「個人」の質的な向上がなければなりません。一国民として一市民として、国の政治や地域の状況をより良いものにするには、どうしていけばいいのか、各自の「主張」を持つべきだと思います。それらを繋ぐネットワーク誌として、「ASSERT」が位置付き発展することを期待していますし、自らも積極的に投稿したいと思います。
1月21日、参議院本会議で政治改革法案が否決されたのを、知った時、無性に腹が立ちました。反対した議員全員ではなく、社会党員でありながら反対票を投じた議員に対して。「信念に基づいて」、反対した議員さん達は異口同音に語っておられました。党の方針に異議を唱え、受け入れられなければ、議員として除名覚悟で行動せざるをえない場合を全面否定するつもりはありません。過去に、「核実験停止条約」を巡る賛否の中、志賀義雄氏は共産党の方針に反した行動をとり、党を除名された事実があります。当時の状況から考えて、私は、やむをえない結果だと思います。しかし、今の政治状況は大きく変わったのです。「連立政権」が誕生したのです。自民党一党支配から抜け出し、いろいろあっても、七党一会派が協力し合って、細川政権をつくりだしたのです。
そして、社会党は、与党第一党という非常に責任ある立場に置かれているはずなのに、執行部をはじめその自覚があるのかと問いたくなるほどです。「その場しのぎ」の政策・方針ばかりに追われていたのでは、有権者の支持どころか、内部から瓦解していくのでは、と少し同情心を持ちつつ思っています。そして、悲惨な状態を迎える前に、「小選挙区」時代に対応できるよう党内論議を活発化し、すっきりさせるべきはさせていく方が、支持をえやすいのではないでしょうか。今まであいまいにして来た問題を、先送りにせずはっきりさせないと、「困惑と苦渋」の社会党というイメージばかりが目について、頼れる党に変身できません。決断には、多少の出血も伴うでしょう。が、今は「変革」の時です。大胆な議論をオープンに行った党が信頼されると思います。
「民主主義の重要性」を如実に示したのが、増税問題を巡る与党間の調整だったように感じました。「一一ライン」と首相・一部官僚の独走にストップをかけられたのは、今後の政局運営にとって意義深いと考えます。いずれ増税を考えなければならなくなるとは思いますが、国民の生活に深く関わって来るような一大事を、一部の人間だけで相談し深夜に発表するなんて、きなくさい感じを受けて良くないです。「政治」から清新なイメージが失われて久しくなります。「政治家」の多くが「政治屋」になってしまった感があります。国民の信頼を回復するためには、「談合」とか「根回し」といった、プロセスがはっきりしない方法は、とるべきではありません。高支持率に驕ることなく、連立各党の主張をよく聞いて、政府としての政策決定を行った方が、政権基盤は強まりこそすれ弱くはならないと思います。細川首相も、「連立政権」の長であることを、肝に銘じておく必要があります。民主主義の質を高めうる実験場を、私達は手にしているのです。「細川政権は、自民党政権より悪い」とまで言いきる方々がいらっしゃるが、私は問いたい、「では、どんな政権をお望みか」と。自民党政権の時も「反対」「断固闘おう」そして、今も「反対、反対、反対」。常に「外野」に身を置き、傍観者を決め込むつもりなら、それもいいでしょう。しかし、より良い社会の到来を望み、その実現にいくらかでも寄与しようとするならば、そんな無責任な態度では、何一つ前向きに解決できないことは明かです。現政権を礼賛するつもりはありませんが、「反自民」できた者としては、よりましな政権として考えています。もちろん、どんな場合でもそうであるように、監視を怠ってはいけないと思います。
以上、長々と「今、主張したいこと」を述べましたが、この「ASSERT」をお読みになっておられる皆さんへ提案します。それぞれの想いや考えを、気楽に出し合って、交流し合いませんか、民主主義の発展と個人の向上を願って。 (大阪 田中雅恵)
【出典】 アサート No.195 1994年2月15日