【93春闘報告】世間並の賃金水準額に近づく賃上げを!
バブル崩壊後の平成不況下で進められている93春闘は、大手電気メーカーなどのリストラの動きの大々的な報道の中で、スタートから苦しい闘いを強いられています。わたしの勤める会社も機械メーカーということもあり、不況の汲をかぶり受注が激減する中で、春闘のスタートとなりました。
春闘の準備は、今年の1月から始めました。連合、金属労協など全体が3月決戦、3月中決着というかたちでスケジュールを前倒ししているため、私たちも3月中決戦のために要求作り、体制作りを進めました。
しかし、2月に入ると、会社側より人事移動にともなう不当労働行為まがいの組合役員の移動をつうじた組合弱体化の策動があり、その対応におわれることになりました。なんとかこの策動を食い止めて、最終的な春闘の要求がまとまったのが、月はじめの臨時大会でした。要求内容は、賃金改定35歳直入者基本給247,000円、平均賃上げ率8%+是正分1,67%=9,67%、および時間外割増し率の引き上げを含む時間外労働に関する協定、組合事務所の設置などでした。要求書を提出し、翌日からワッペン事業所内着用を実施し、対会社要求説明行動、回答指定日回答確約行動を行い、17日回答指定日をむかえました。しかし、有額回答が出されなかったため、臨時大会を開催して、時限ストライキを含む闘争体制を確立して、団体交渉にのぞみました。なかなか有名回答を引き出すことができず、結局引き出したのは、春闘全体の山場が終わった4月1日でした。一次有額向答は、定昇・ベースアップ分平均基本給×3.8%および是正分(調整手当アップ分)平均基本給×1.0%でした。私たちは、回答を不満とし、基本給引き上げの上積みおよび是正分の基本給繰り入れることを要求して、時限ストを設定し、再度団体交渉にのぞみました。最終的には、0.2%の基本給の上積みを引き出し、トータル5%(13,044円)で妥結しました。他の要求については、今回の春闘では決着しませんでした。
今年の春闘は、要求にこだわり、メリハリのある活動で交渉力を強め、世間並の賃金水準額に近づく賃上げを達成し、3月決着を目指すことが目標でした。結果的には、2月の事件がありながらも、当初の目標をほぼ達成したのではないかと思っています。しかしながら、同時に多くの課題も山積みされています。第一に、年齢別ポイント賃金の回答を引き出せなかったことなど、配分交渉に会社を応じさせられなかったことです。
結局この点では、52才までの全正社員の最低保障賃上げ額8,087円を確約しただけにとどまりました。第二に、全体の山場に交渉を行うために回答指定日に有額回答を引き出せなかったことです。第三に、時間外労働の協定について進展がなかったことです。この点にっいては、今後4月中決着をめざし、労働基準監督者への告発も辞さぬ姿勢で集中的に取り組む予定です。
私たちの組合では、これから今春闘の総括論議を行い、春闘の成果をふまえ夏期一時金の要求作り、闘争を行うことになっています。 (東京Ⅰ)
【出典】 青年の旗 No.186 1993年4月15日