【コラム】ひとりごと –労働組合を担う世代について–
▽企業の「リストラ」ブームで、とうとう中高年管理職が会社から弾き出される時代になった。「管理職は組合をつくって聞え!」という声もちらほら。日本のサラリーマンには「滅私奉公すれば、やがてはバラ色の生活」という世界が存在してきたが、とうとうそれもメガトン級のパンチで壊されたようだ。考えてみたまえ、45歳にもなればもう退職を迫られる世界である。子供も家も、なにもかも大変な時代である。▽不況で企業が倒産することは通例であるが、今回、はちょっと違う。先を見ての中間管理職の合理化、事業部門等の整理統合である。これからの減収減益の中で企業収益構造を高めるための体質転換だ。売上重視から収益重視へと変ってきている。もうけるためには何でもやりますから、うちはこれでもうけますだ。「安易な中高年いじめは企業の力を弱めるだけであって、企業の損失」だと三菱総研あたりが忠告するぐらい、リストラで中高年はやられている。▽さて新しい人事管理には年報制が話題を呼んでいる。プロ野球選手と同じだ。上司との間で細かな目標管理が行なわれ、達成率によって査定され、給料が決る。比較的技術職関係には「プロ集団」「技術集団」を形成する上でのく働きがい)との関係で取り入れられていっているようだ。すでに職能給制度でもこれに近いところがある。▽労働組合といえば公務員関連および大企業の労働組合だ。中小は数でいえばビビたるものだ。もちろん運動的にはいろいろある。ただ全体への影響力では比較にならない。労働者の4人に1人以下になった組織率。しかも組合員であることを自覚できない組合員が増えている。私の実感からいっても、ふつうの人が労働組合をやっている人はめずらしい。活動家だけがとっかえひっかえ組合の執行部をやっているとしたら、もう末期症状である。ただ気掛りなのは、今30歳前後の人以後の世代に、労働組合をやる人がはたしているのかどうか?そうした組合に出来るのかどうか?だ。運良く(?)私たちはその鍵を握ってしまっている。(東京・i)
【出典】 青年の旗 No.187 1993年5月15日