【報告】歴史的な総選挙を前に 匿名座談会

【報告】歴史的な総選挙を前に 匿名座談会

大阪府委員会では、6月19日に定例会議をもった。不信任決議可決から総選挙へと向かう政局について討論をした。その議論の内容は以下のようなものでした。

<不信任案を可決した原動力は何だったのか>
c:今日は18日の不信任決議を受けて総選挙へと向かう情勢について話あってみたい。ひさびさに面白いというか、興奪するような状況で、何かが必ず変わるという流れがあるので、感想でもいいので発言して行ってほしい。
A:何故不信任案が可決される事態まで行ったのか。
その原動力は何か、ということについて話し合ってはどうか。
B:みんな秋だ、と思っていましたからね。ひょっとしたらと思いながらもね。
A:6月17日の夕刻まで、我々も不信任案の採決まで行くとは思っていなかった。自民党中枢が羽田派をいじめているような感じ、また羽田派が不信任実に賛成するとは思っていなかった。せいぜい会期延長で乗り切るのではないか、という認識だった。宮沢がもっと早い時点で会期延長を言い出していれば、別の話だっただろう。それが、17目深夜で羽田派の意志が表面化して、情勢が動きだした。正直あたふたした。サミットということもあったし、総裁選ということもあった。それが、こんなに急展開したのはなぜなのか。
B:やはり、自民党の党内事情が決定的だった。
F:羽田派は一時後退したイメージであったが今週くらいから変わってきた様子。
D・:僕も朝刊を見てびっくりしたという感じだ。
A:なぜ羽田派が決断できたんだろう。
B:羽田派は何もできないだろうという材料が幾らかあった。政治資金規制法で新党資金と言われていた金丸資金が検察に押さえらたとか、金丸絡みで小沢の名前が出てくるとか。不信任を前後してそういう話が出てこないということは実際は何もなかったという可能性もある。つぶすだけの材料がなかったから、これだけのことが出来たという判断も出来る。
c:経世会の分裂以来の小沢派、小渕派の抗争のなかで、小沢派を追いだそうと言う意図もあったのではないか。
D:経世会の中の権力争いの中で羽田派が出てきたが、実態は権力争いをしていただけで、改革派というのは単なる看板という印象がある。
c:改革派と羽田派はいうが、その中身は依然としてはっきりしないのではないか。それに対して、昨日テレビにでていた武村グループの若手は一人ひとりが主張をもっているように思えたが。みんな坂本龍馬のような意識で。
F:やはり金丸が言っていた保守2党制みたいなところが狙いなのかな。
A:リクルート、佐川、金丸と自民党から金権腐敗を取ったら何も残らないというところまできた。自民党の看板を変えなければ国民の離反は避けられないところまできているように思う。ただ今向の自民党分裂が単なる看板の塗り変え、のれん分けに終わるのかということが問題だ。離党組の若手はほとんどが政治改革推進協議会(民間政治臨調)に参加している。それなりの活動歴を持っているように思える。こちらの方が「改革派」という印象だが。
c:毎日新開の夕刊(6・19)には、武村グループがシリウスと合流という記事も出ている。そういう意味ではシリウスをつくったのは、正解だったことになる。こういう事態を予測して受け皿を作って置いたのだから。
A:羽田派が飛び出したのも、何らかの財界のOKが あったということだろう。
B:そうでなければこんなことはできない。財界の支 援は確実でしょう
D:それでは、システムは今後もそれほどかわらない ということか
c:それは違う。何か違うだろう。選挙制度も含めて何か違うイメージを出してくるのでは。ただ、羽田派の主張と言うのがまだよく分からない。
E:この新開では「新党の名称はまだ決まっていないが、自民党に対抗し、改革と自由主義を基調とする政党として再出発したい」と羽田は言っている。
C:よくわからないな
F:日本新党の細川は、少し距離を置きたいところだろうな。もう少し力をつけて。
B:羽田は総理大臣をねらうだろう。細川もそうだ。細川家500年の夢という事か。ずっと外様だった怨念か?
A:羽田は新党を創って、野党と大連合で自民党と対抗すると言っている。23日に羽田新党を作り、7月4日の選挙告示までに「大連合」を創ると言っているわけだ。しかし、国民の側からは、新党の政策はイメージ以上ではない。マスコミも分かりやすい選挙にするべきだと主張している。何を改革するのかという意味で。
C:いずれにしても、自民党も追い込まれたものだ。すでに海外の論調は「死に体首相の主催するサミットは中身がない」と議長国の政治混乱に不信が出てきている。
B:サミットについては、ソ連崩壊の後は、政治的セレモニーの感があり、無意味化しているのではないか。

<選挙制度改革のゆくえは>
A:選挙制度については、野党6党で連用制までまとまったわけだ。連用制がこれからもキーポイントになるわけだ。
B:「小沢派」としては中選挙区でも小選挙区でも選挙制度なんかどうでもいいのではないか。・・・・・・むしろ、社会党が心配だ。社会党の場合、自民党に隠れてもめ事も表にでていないが、議員は中選挙区で行きたいわけで、・・・。
F:小選挙区制では、社会党は今の1割か2割ぐらいしか取れない。そこで比例制も加味してというところか。
E:2大政党制の受け皿作りということか?
D:やはり当初言われてきた腐敗防止はどこかへ行ってしまったのか
F:どのような選挙制度になるにせよ、このままでは何らかの小選挙区がはいる。連用制でも「2大政党」という枠組が必死ではないか。そうすると保守2大政党にするか、そうでないものにするかが大きな焦点では?社会党はそこまで踏む込む意志なのか。
連用制が出発点とすれば、さらに並立制に近いものが着地点という事ではないのか。

<18日の選挙結果、その後の政界再編?>
A:民社党はもうだめでしょう。
B:今度の選挙では、もう政党としての意味ががなくなるのでしょう
A:民社党はいままでも保守の補完勢力であったが、もうその必要がなくなったわけだ。羽田派と日本新党、公明党と社会党の一部が結びつくという構図が選挙の前後に出てくるわけだが、社会党は全体としてどの方向なのか。
B:政権を取ることを考えれば過半数250が必要。羽田派が40、日本新党、武村グループも入れ、ついでに公明民社が50、会わせて150くらいか。そこで社会党がどう動くかだ。改革派、右派のグループが動くということは考えられるが、いわいる左派も入れての社会党全体ということになるのかどうか。
A:羽田派40といっても、総選挙には羽田派新人もでてくるわけで、それがどこまで伸びるのか。自民党本体がどこまで防げるのか。また、日本新党がどこまで伸びるか、総選挙の結果が、新たな再編を生み出すとも十分予想される。
B:連合や仝電通の選別推薦という詰もあるが、今回の選挙ではどうなるか。
A:これはどう考えても、保守2大政党制的な形になっていくのかな。2大政党とならなくても、第2保守党を創る、そうしなければ、「腐敗する自民党」だけの受け皿では、保守支配が続かないところまで、彼らが追い込まれてきたことは事実だ。財界団体も17日前後に政治改革が進まない中での政治混乱に対して不快感を示していたし、それで自民党に資金援助ということにもならないだろう。自前でやってみろと言う感じかな。
D:財界も資金的には、景気の問題もあり、しんどいという状況もあるのでは。そして、社会党のなかでさえ分岐がでてくれば我々も一定の判断が必要になりますね。
F:このままでは、羽田派と日本新党を足せば、社会党が第2党でなくなる事態になる。
A:どちらにしても、今回の選挙では、羽田派を抜いての自民党単独政権の崩壊は必至であるということは確実。それ自体は歓迎すべき、歴史的なこと。ただ、改革の中身をめぐる問題となるのではないか。

<社会党は、改革派となれるか>
A:ところで社会党だが、今でさえ危機感が無いように思う。93宣言というのもあるけれど、党内では本気の議論になっているのか0 これだけ、自民党がパフォーマンスを演じているなかで、不信任案が通ったというだけで喜んでばかりはいられない。次はなにかが、社会党サイドからは示されていないように思う。「さあ、連合政権だ」だけでは、逆に社会党が低迷する可能性が高いのではないか。
B:55年以前の右派社会党、左派社会党みたいなかちにはもうならないだろう。例え、そうなったらもう「統一」はない感じだ。
C:いすれにしても、7月18日が次の新たなスタートになる。それぞれの場所で選挙に関わり、自民党の歴史的敗北を実現したいものだ。

【出典】 青年の旗 No.188 1993年6月15日

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