【コラム】ひとりごと–異常気象に思うこと–

【コラム】ひとりごと–異常気象に思うこと–

◆クーラーのいらない奇妙な夏である。梅雨明け宣言は今年は夏の到来を意味しなかった。長雨は九州地方で過去最高の雨量を記録し、非自民連立政権が成立した8月6日には土砂崩れによる多数の死者が出ている。◆異常気象というのは、大きな環境問題である。アメリカでもミシシッピー川大洪水が起こっている。◆日照時間、大気の温度、雨量の変化などは農業や漁業に大きな影響を与え、経済政治へもいずれ影響してくる。◆アメリカ副大統領ゴアは「地球の掟」の中で、人間の歴史の中で、気象や火山活動など自然環境の変化が人間社会に大きな影響を与えてきたが、二酸化炭素の増加による地球の温暖化、オゾン層の破壊など、人間の文化、工業社会がいま地球の自然のバランスを壊 しはじめていると指摘する。◆土建・建設利権の公共事業が自民党を支えてきたが、長雨で多数の死者が出るという事態は、いかに自然を無視した公共事業であったかを物語る。天災というより人災であることは明らかだ。◆はたして、今年限りの異常気象となるのかどうか、専門家でない私は予想もできないが、人間の自然に対する馨りは、いずれ予想もできない事態を生むことを覚悟しなればならない。それもまた自然の摂理というものか。(佐野秀夫)

【出典】 青年の旗 No.189 1993年8月15日

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