【投稿】安倍の大暴走と感染研の闇―新型コロナウイルスと731部隊OB-

【投稿】安倍の大暴走と感染研の闇―新型コロナウイルスと731部隊OB-
                               福井 杉本達也
1 新型コロナウイルス対策の大暴走

安倍内閣の新型コロナウイルス対策が場当たり的に大暴走している。2月27日、安倍首相はあまりに唐突に全国の小中高、臨時休校を要請した。前日:26日の大規模イベント中止要請に次ぐものである。しかも、学校の一斉休校の要請は「法的拘束力はない」と安倍首相自らが答弁。25日に専門家会議が開催されたが、大規模イベントの中止や、まして全小中高の休校措置などは議論にもなっていなかった。29日午後6時からの安倍の記者会見では「あと1・2週間が勝負だ」というものの、「1・2週間」に何の根拠もなく、わずか2日間での判断変更のエビデンスについての具体的な数字も示されなかった。テレワークなど現実離れした言葉だけが妙に浮いており、一斉休校やイベント中止などの経済的影響には雇用調整助成金を使うというが、既存の雇用保険制度の一環であり、目新しさは何もない。
一方、現場の大混乱のなか、休校の時期、期間は「それぞれの地域の実情に合わせて柔軟に」と無茶苦茶、文科大臣も蚊帳の外であり、教育現場は大混乱に陥った。「小・中学校に通う子どもを持ち、出勤できなくなる看護師が全体の2割強に当たる170人に達する」(「帯広厚生病院が一部の診療制限へ」:十勝毎日:2020.2.27)。巷では、マスクどころかトイレットペーパーやカップ麺もスーパーの棚から消えてしまった。まさに1973年のオイルショック以上の社会的大混乱である。与党からも「社会全体にとって突然のことで、唐突感は否めない」との大批判が出ている。立憲党の安住氏によると、内閣府特命担当大臣の西村氏からは「首相が判断し、下におろした」と説明があったことを明らかにし、「万端の準備をしていないままに、首相が決断した可能性が高い」と指摘した。いったい、この2日間で何があったのか。対策が後手後手に回って支持率が大幅に下落したための大博打なのか、IOC委員による東京オリンピック中止発言か、はたまた、クルーズ船の検疫大失策による海外からの批判か、実は水面下では既に感染が大規模に拡大しているのか。 続きを読む

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【投稿】パンデミック危機と世界同時株安--経済危機論(17)

<<「市中感染、必ず起きる」>>
2/25、ニューヨーク株式市場は、新型コロナウイルスによる肺炎の世界的な拡大・パンデミック危機への懸念から、前日に続き大幅に下落、ダウ平均株価が▲3.56%、1031ドル、ナスダックの下落率はそれ以上で、▲3.7%という大暴落となった。欧州もドイツの▲4.01%、イタリアに至っては▲5.43%の暴落、ストックス欧州600指数の終値は▲3.8%下落となった。東京株式市場も大幅に下落、下げ幅は▲4%を超える事態となった。韓国総合株価指数も▲3.87%の下落、アジア太平洋の株式市場も軒並み大幅に下落、タイ証券取引所のSET総合指数は▲3.98%下落している。
2/25のニューヨーク株式市場は、実は取引開始直後は、前日の1000ドルを超す急落の反動で上昇していたが、買いが一巡する

や、一挙に下げに転じたのであった。きっかけは、米疾病対策センター(CDC)が、新型肺炎の世界的な大流行「パンデミック」に備えるよう警告したことであった。同センターのナンシー・メッソニエ国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)所長が、記者団との会見で、「米国内で市中感染が起きると予想している」、「起きるか起きないかという問題ではなく、いつ起きるかの問題だ。必ず起きる」と強調したのであった。トランプ大統領は25日、このCDCの注意喚起に先立ち、新型ウイルスの米国内の感染拡大リスクは小さいとの見解を示し、「米国内では非常によく封じ込まれている」と発言していたが、市場は大統領の楽観論を無視、これまでの浮かれたような株高バブルが実体経済を反映しておらず、米総合購買担当者指数(PMI)の50割れなど、根底に流れるファンダメンタルズ・基礎的経済条件の悪化と直面するパンデミック危機が結びついた結果が、この暴落を招いたと言えよう。「空気」が一変し、世界同時株安へと一挙に波及したのである。反転・揺り戻しがあったとしても、事態は楽観できないと言えよう。
この結びつきの厄介なことは、たとえFRB(米連邦準備制度)=中央銀行が低い金利をさらに引き下げたり、マイナス金利を導入して金融市場に流動性資金を大量に供給したとしても、パンデミック危機への進行は、病原菌の拡散という明らかに別要因であり、金融市場操作のようには対処できないことである。
しかも経済のグローバル化によって、中国経済の果たす役割が決定的に高まり、パンデミック危機が製造業基地としての中国、巨大な消費市場としての中国に依存してきた世界のサプライチェーンを大きく損ない、人とモノの交流がグローバルに拡大した結果として病原菌もグローバルに拡散し、結果としてその人とモノの交流が遮断され、実体経済に大きな損失をもたらす可能性が否定しえない局面に直面していることである。まさにパンデミック危機と経済危機の結合が進行していると言えよう。 続きを読む

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【投稿】日本の新型コロナウイルスの強制隔離は「こうしてはいけない」という教科書に載る見本

【投稿】日本の新型コロナウイルスの強制隔離は「こうしてはいけない」という教科書に載る見本
                            福井 杉本達也

1 米国人退避―日本政府のクルーズ船の強制隔離政策に愛想をつかす
 共同通信によると「在日米大使館は15日、米国務省が新型コロナウイルスによる肺炎を巡り、横浜港に停泊するクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス』から米国人乗客らをチャーター機で帰国させると発表した。チャーター機は16日夕に日本に到着し、米国人はバスで移動する。日本政府当局者は、17日に羽田空港から出発する予定だと明らかにした。世界保健機関(WHO)は中国国外での感染拡大は同船だけに『劇的な増加』が見られると指摘。米国内では船内に乗客乗員を待機させ続ける日本政府の対応を疑問視する声が高まっており、米政府は早期の帰国が必要と判断したとみられる。」(2020.2.15)
クルーズ船という医療施設もなく、感染症対策も不十分な狭い空間に、3,700人もの乗客・乗員を他の人々より感染リスクは高いという理由だけで、2週間も監禁することは、最も不合理的であり・人権無視を甚だしい。既に、カンボジアでは日本が寄港を拒否し2週間海上をさまよったクルーズ船「ウエステルダム」の乗客の下船を開始した。また、イタリアはわずか12時間で乗客の下船を認めている。日本だけが時代錯誤的に、「水際作戦」と称して、巨大な動く国際都市ともいうべきクルーズ船の訳のわからない強制隔離政策に突っ込んでしまった。国際的な大非難を受けたことは至極当然である。国内的には強権や官僚の忖度で押さえつけていた安倍政権も、その無能さを国際的に晒してしまった。 続きを読む

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【投稿】危機の深化と民主主義--経済危機論(16)

<<パンデミックをもたらしたもの>>
2/13、中国・湖北省の衛生健康委員会は、新型コロナウイルス感染症例が12日に1万4840件、前日から実に45%も増加し、同省での感染例は計5万件に近づいた、と発表している。これまでの核酸の検査キットによるものに、画像スキャンで確認された症例を加えたという。ここ数日、新たな感染者の伸びが鈍化していたかに見えたが、反転増大している実態が浮かび上がってきたのである。ウィルス拡散の実態は、不正確、あるいは不明かもしれないのである。
そもそもこのウィルス拡散の経緯が、いくつもの疑問点や問題点を含んでいる。
▼ 最初の患者は、湖北省・武漢市で2019年12月1日に発見され、12/8に原因不明肺炎と診断される。
▼ 12/26、上海市公共衛生臨床センター科研プロジェクトが武漢市中心医院と武漢市疾病制御センターから発熱患者の検体を入手し、精密検査。
▼ 12/29、湖北省中西結合医院呼吸科・重症医学科主任の張継先医師が武漢の海鮮市場で働く人たちが数多く同類の肺炎に罹っていることを湖北省および武漢の衛生健康委員会疾病コントロールセンターに報告。
▼ 12/30、武漢市中心医院眼科医・李文亮がグループ内のチャットで「武漢の華南海鮮市場で7人のSARS(に類似した)患者が出た」と発信。
▼ 12/31、武漢市衛生健康委員会が、原因不明の肺炎が発生し、華南海鮮市場と関係しており、27例の症例と重症7人であるが、「人‐人感染」はなく、「予防可能で制御可能である」と発表。
▼ 2020/1/1、武漢警察の公式ウェイボー(微博)「平安武漢」が武漢の医者らが訴えた情報は偽情報で社会の秩序を乱すとして8人を摘発したと発表。
▼ 1/5、検体検査をしていた上海市公共衛生臨床センターが病原菌は「歴史上見たことがない新型コロナウイルスだ」と明言。
▼ 1/17、浙江省で新たに患者5人が発生、中国最高権威の著名な疫学者・鐘南山院士が警告を発し、国家衛生健康委員会が鐘南山をトップとする「最高レベル専門家チーム」を結成。
▼ 1/19、鐘南山をリーダーとする専門家チームが武漢入り、協和医院を視察、「人‐人」感染を確認、「緊急事態」と判断、国家衛生健康委員会を通じて、李克強国務院総理に報告。
▼ 1/21、中国政府が公式に新型コロナウィルス感染拡大を発表、ここで初めて国際社会全体が知ることとなった。
▼ 1/22、中国国家衛生健康委員会の李斌副主任が同日午前0時時点で確認された感染者数が440人、死者数は9人に増えたこと、「すでにヒトからヒトの感染、医療関係者への感染が確認され、一定範囲の地域へ拡散している」と指摘。ウイルスが変異する可能性についても言及し、「さらに拡散の危険がある」と述べる。
▼ 1/23、習近平国家主席の名において「重要指示」を発表。1月23日午前2時、武漢市新型コロナウイルス肺炎予防・抑制指揮部は第1号通告を発表し、「1月23日10時から、全市の路線バス、地下鉄、フェリー、長距離バスの運行を一時的に停止する。特別な理由がない限り、市民は武漢を離れてはならない。空港や鉄道駅から武漢を離れるルートを一時閉鎖する」ことを通知した。
以上が武漢市閉鎖という非常事態に至る、これまでに明らかになったおおよその経緯であるが、ウイルスの拡散を封じ込める絶好の機会が何度かあったにもかかわらず、逃してしまっている。
まず、発生から12月の1カ月、ほとんど何らの対策も講じられず、情報さえ公開されなかった。12月下旬には多くの報告が寄せられ、重傷者まで出ていたにもかかわらず放置し、12/31になってようやく武漢市衛生健康委員会が、原因不明の肺炎が発生したこと、しかし「人‐人感染」はなく、「予防可能で制御可能である」と発表。
翌1/1には、当事者である医師らが訴えた情報は偽情報で社会の秩序を乱すとして8人を摘発し、二度とこのようなデマは流しませんという誓約書にも署名捺印させて事態を隠ぺいすることに終始した。1月上旬には数人の医療従事者が感染していたにもかかわらずこれも隠蔽され、もちろん、予防措置は一切講じられず、1月中旬まで武漢でフェイスマスクを着用している市民はほとんどいなかったのである。
しかも1/21の公式発表、1/23の武漢市閉鎖まで、約50日間の間に、何らかの危惧と危険を察知したのであろう、実に約500万人の人々が何の検診も警告も受けずにすでに武漢市を去っており、ウィルス拡散が放置されてしまったこと、情報公開と予防措置という決定的な行動が一切取られなかったことである。こうした経緯こそがパンデミック(世界的な感染・流行)をもたらしたのである。
こんなこともありうるさ、では済ませられない決定的な中国当局、ならびに政権を担う中国共産党指導部の失態と言えよう。彼らは、ウイルス拡散に対抗し、防止する代わりに、情報と真実の隠蔽に力を注いでいたのである。たとえその後の果断な決断と行動が大いに、あるいは少しは事態を改善させたとしても、事ここにまで至る責任は免れないと言えよう。 続きを読む

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【翻訳】コロナウィルスについて

The New York Times International. Edition on January 30, 2020
“Numerous, wide-ranging and adapted to carrying diseases”
By James Gorman

「数が多く、広範囲にそして種々の病気を運ぶに順応している。」

 もし前回のコロナウイルスの outbreaks (「急激な発生」)が何らかの気配、暗示を有しているならば、今、拡散している中国、武漢の菌種の系統は、ゆくゆくは蝙蝠 (“Bats”)に行く着くかもしれない。
 Dr. Peter Daszak, president of Eco-Health Alliance, USA, ―彼は、動物から人に移り罹る病気を中国で15年にわたり研究してきている。「我々は未だその根源を知らない。しかし蝙蝠由来(”bat-origin”)のコロナウイルスであるとのいくつかの確かな証拠がある。そして、それはおそらく中国の “horseshoe bat” に行きつく。」と述ている。その蝙蝠は普通のありふれた種で、重さはわずか 1 ounce (28.35 g ) 程度である。
もし彼の主張が正しければ、この菌種は、豚における破壊的ウイルス伝染病であったと同様に SARSや MERSもBats コロナウイルスによって引き起こされたように、他の蝙蝠が宿している多くの他のウイルスに合わされるであろう。
 蝙蝠は、発病することなく多くの異なったウイルスの宿主(“host”) たることができる。
Bats は、Marburg, Nipah, Hendra* ウイルスの保菌生体(”natural reservoir”)である。そしてそれらは、Africa, Malaysia, Bangladesh,Australia において人間に移りoutbreaks させた。また Batsは Ebolaウイルスのnatural reservoirと考えられている。またBatsは、狂犬病ウイルスも持っている。このケースでは、その病に罹っている。
 Batsのウイルス耐性(耐菌、耐毒)(“tolerance”) は、他の哺乳類より優れていて、その多くの特性の一つである。 Batsは唯一の飛ぶ哺乳動物である。そして病原体を持っている昆虫類を大量に貪り食う。バナナ、アボカド、マンゴー等、多様な果物の受粉に不可欠な生き物である。さらにBats は驚くほど多種あり哺乳類の種目の1/4ほどを占めている。
 しかし、Batsのウイルスと共存する能力―それは他の動物、とりわけ人間のそれよりはるかに優れている―は、我々がそれらを食べ、家畜市場で取引し、かつそれらの住んでいる地域に入っていくときには、破壊的な結果をもたらす。
 Batsが、どのようにしてかくも多くのウイルスを宿していて、かつ生き永らえているかについては、科学の深遠なる疑問であり続けてきた。そして新しい研究は以下のことを示唆している。即ち答えはBats が、いかにして飛ぶことへ進化し順応するために免疫システムを変えて来たのかに、横たわっている。 続きを読む

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【投稿】新型コロナウイルスを巡る、泥縄の「隔離政策国家」日本

【投稿】新型コロナウイルスを巡る、泥縄の「隔離政策国家」日本
                             福井 杉本達也

1 クルーズ船に3700人も監禁する「隔離政策国家」日本
 2月3日、横浜に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で日本や東アジア・東南アジアを周遊し、香港で下船してしまった香港籍の男性が新型コロナウイルスに感染したことがわかった。そこで、厚労省は同船の乗客乗員のうち、香港籍男性と同じバスツアーに参加したりした濃厚接触の疑いのある273人を検査し、結果が判明した102人中、5日に10人、6日に10人の新たな感染者が確認された。今後もさらに感染者が拡大する可能性がある。
しかし、残り3400人もの乗客・乗員を「経過観察期間」という名目で14日間も狭い閉鎖空間に監禁する理由はあるのだろうか。香港籍男性は武漢在住ではないので、2次感染、3次感染の疑いが濃厚である。とするならば、新型コロナウイルスはかなりの程度、日本を始め世界各国に広がっている可能性が大きい。奈良県のバス運転手・バスガイド・千葉県のバスガイドの例を含め武漢はおろか中国にも行ってはいない2次・3次感染である。厚生労働省は「水際対策」に力を入れているが、「水際対策」は、国内で感染が広ま っていない場合に限られる。安倍首相は、感染している人は入国を拒否するという方針を打ち出したが、このような方針は既に合理的な判断とは言えない。確かに3700人は他の人々よりは感染リスクは高いが、ウイルスを保有しているかもしれないという理由だけで2週間も監禁することは人権無視も甚だしい。高齢者も多く、既に持病の薬が切れかけていると訴える乗客も多数ある。定期的に病院に通う時期にある乗船者もあるであろう。新型ウイルス以外の症状で何か異変があった場合には誰が責任をとるのか。

2 国内で2次・3次感染者:水際作戦は無理―インフルエンザと同様の対策をすべき
 1月28日に奈良県の60代の運転手が新型コロナウイルス感染者の明らかになった段階で厚労省は「水際作戦」から季節性インフルエンザと同等の対応に切り替えるべきだったのではないか。上昌弘医療ガバナンス研究所理事長は「そもそも空港検疫などいくらやっても新型コロナウイルスの感染者の流入は防げない。最長で2週間の潜伏期があり、多くの感染者が空港検疫を素通りするからだ。このことは2009年の新型インフルエンザの流行で実証されている」(「新型肺炎」日本の対策は大間違い)と指摘している。既に中国の春節の民族大移動は1月中旬には始まっていた。日本にも武漢からの9000人を始め、大量の中国人観光客が来ていた。1月29日、政府は第1便のチャーター機を武漢に飛ばして邦人206人を帰国させたが、中国政府が武漢市を閉鎖した中での、全くの無為無策の政治的ポーズだけだったのではないか。
帰国させるにあたっては当然ながら検体検査の体制が不可欠である。上氏によれば、「新型コロナウイルスの検査は簡単だ。鼻腔やのどに綿棒を入れてぬぐい液を採取し、PCR法を用い てコロナウイルスの遺伝子の有無を調べればいい。PCR法は多くの感染症に対して、臨床応用されている。簡単な検査で、設備さえあれば数時間で結 果は出る。外部の検査会社に委託する場合でも、翌日には結果が戻ってくる。」ところが、「普通の国民は、このような検査を受けることができない。厚労省の方針で、検査は中国からの帰国者や濃厚接触者など、ごく一部に限定」している。「厚労省がやるべきは、希望者すべてが検査できるような体制を整備することだ。財源を用意し、保険診療に入れればいい。あとは放っておいても医療機関と検査会社が体制を整備してくれる。新型コロナウイルス感染は指定感染症のため、陽性になれば、医師には報告義務が課されている。厚労省はリアルタイムに感染状況を把握できる。その費用は1検体で1万円くらいだから、100万人が検査しても、100億円程度だ。」という。ところが、いまなお、悪あがきで、あくまでも「水際作戦」に固執する厚労省はこうした体制を取ろうとしていない。

3 いたずらに危険性のみを煽るマスコミ
 日経新聞、2月6日の記事によると、「肺炎や発熱などの症状がない人を含め、すでに国内外で感染」が広がってしまい、西浦博北大教授によれば「『現時点では10万人以上が感染している可能性が高い』」、「感染者の半数近くで症状がみられない間に感染が広がった」とし、現時点での感染者数からの致死率は2%、実際はもっと低く0.3~0.6%という。つまり、毒性はそれほど高くないが、収束するには時間がかかるということである。それをバス運転手やバスガイドがどこへ立ち寄ったかとか、新幹線で往復したとか、クルーズ船の乗客がどこの港でオープンツアーに参加したなどと、「感染経路」ばかりを取り上げ、いたずらに危険性を煽っている。日本と中国の観光や産業を巡る人的交流は既に「感染経路」では把握できるわけもない。武漢には日本のホンダや日産、日本製鉄、イオンなど日本の大企業が大量に進出しており、人的交流は新コロナウイルスが流行し始めた昨年12月段階においても活発であり、個別の「感染経路」を問題にしても何の足しにもならない。既に国内外に感染が広がっているとするならば、感染対策の目的は国内での流行を食い止め、死者を減らすことに変更すべきである。米国ではインフルエンザが流行し、感染者は1900万人を超え、死亡者は1万人を超えたという(日経:2020.2.6)。現時点での新型コロナウイルスによる死亡者数は千人にも満たないのであるから、よっぽど、米国のインフルエンザの方が怖い。しかし、米国との人的交流をストップするという声はでない。不可能だからである。マスコミは今一度頭を冷やして冷静に考えるべきである。 続きを読む

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【投稿】京都市長選の結果をめぐって--統一戦線論(67)

<<不信任でも自公「圧勝」>>
 2/2投開票、2020年最初の全国注目の選挙であった京都市長選の結果は、
門川大作 210,640(得票率:45.1%)
福山和人 161,618(得票率:34.6%)
村山祥栄  94,859(得票率:20.3%)
であった。投票率は前回より5.03ポイント上昇、40.71%で、20年ぶりに40%を超えている。
 門川氏は現職で、自民党京都府連、立憲民主党京都府連、国民民主党京都府連、公明党、社民党京都府連推薦、第二の福山氏は、共産党、れいわ新選組、新社会党推薦、緑の党京都府本部支持、第三の村山氏は、地域政党・京都党前代表で前市議、2008年にも市長選に立候補している。
 この構図で特徴的なことは、言うまでもないことではあるが、立憲、国民、社民の野党3党が国政で対立している自民・公明と手を組んだことである。前回も前々回もこれまでも同様であるが、立憲、国民は民主党として手を組んだ。対する福山氏は、新たにれいわ新選組が支援に回った。「安倍政治を許さない!」として、立憲、国民、社民の野党3党は、共産党とともに野党共闘を推進する立場にありながら、なぜこの期に及んでも自公と手を組むのか、これに対して福山陣営に新しく加わったれいわ効果がいかなるものか、が注目されたと言えよう。
 結果は上記の通り、門川陣営の獲得した得票は、対立したに候補の合計票を4万5837票も下回っている。現職・門川批判票の方が断然多いのである。この点だけを取れば、明らかに不信任が下されたと言えよう。
 門川陣営は相当の危機感を抱いていたことは当然であろう。陣営の演説会場には、「951を忘れるな」「油断大敵」という大きな垂れ幕を用意し、弁士は、今回の選挙は12年前と同じ構図だとして、「(福山が)激しく追い上げてきている」と危機感をあおっている。12年前、門川氏に対して、共産党は中村和雄弁護士を擁立、そこに市議だった村山氏が加わり、三つ巴の闘いは今回と全く同一である。今回と決定的に違うのは、「951を忘れるな」というその票差であった。中村氏は門川氏に951票差にまで迫ったのであった。1000票余り逆転されれば敗北という危機感であった。ところが、接戦・激戦の予想に反して、2位の福山氏に対して、951票どころか約5万票近くもの「圧勝」(自民関係者)を門川氏にもたらしたのである。
 第3位の村山氏は「人件費の見直し、事業の整理、交通局の民営化など財政再建を徹底的に行う」という規制緩和・市場原理主義の新自由主義路線を掲げ、門川票に食い込んだことは明らかであり、出口調査によると門川票を3割弱切り崩しているが、上回るものではなかった。
 こうした中で、福山氏を支援したれいわが、昨夏の参院選で京都市で獲得した票は2万9,656票であり、今回の出口調査によれば、無党派層の投票先は福山氏38% 村山氏が30%、門川氏26%であったことからすれば、れいわ票の多くが福山氏に回ったとしても追いつかない票差である。 続きを読む

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【投稿】伊方原発の全電源喪失と燃料棒落下の重大事故

【投稿】伊方原発の全電源喪失と燃料棒落下の重大事故
                                                                                       福井 杉本達也

1 伊方原発の全電源喪失事故
1月25日、定期点検中の伊方原子力発電所全体で全電源喪失の重大インシデントが起きた。NHKによると、1月25日午後3時40分頃停電が起き、「すぐに非常用の発電機が作動するなどしたため、停電は解消」したというが、1,2号機は3秒程度、定期点検中の3号機は10秒程度全電源を喪失してしまった。「非常用発電機が作動したのは、記録が残っている平成11年以降初めて」で「当時、3号機では外部から電気の供給を受ける2系統の送電線のうち、バックアップ 用の系統の安全装置に異常が無いか点検が行われていて、突然、電気が遮断」されのが原因という。この間、3号機燃料プールでは午後3時から5時の間に1.1度の上昇が認められた。3号機は昨年12月に定期点検入りしており、直ちに水が沸騰し、核燃料が冷却されずに溶融に至るということではないが、東北大の圓山・小宮研究室の計算よれば、60日目の崩壊熱は熱出力の0.095%もあり、「崩壊熱に相当する水量の経時変化」では、70万kw級の原発の運転停止後60日経過後でも5t/時の水量が必要とされる。1日では120tの水量にものぼり、1,2日で燃料が冷却されず燃料棒の溶融が起こる。ところが四国電力は「3号機は非常用ディーゼル発電機からの受電に成功しており、福島第一原子力発電所 事故のように、全交流電源が喪失したわけではありません。」と間の抜けたプレスリリースを行っている。
3号機には1,2号機と共用の18.7万V送電系統と50万V送電系統の2つの送電系統があるが、今回、1,2号機系統の電気が遮断されたことから今回の全電源喪失が起きたが、ではどうして50万V系統からの電気がすぐに供給されなかったのか。また、3号機専用にディーゼル発電機2基があるが、今回は運よく発電機が起動できたから10秒程度の停電で済んがものの万一2基とも起動に失敗した場合は炉心の冷却手段を失う。2019年9月18日には北海道電力の泊原発1号機で、異物混入により非常用発電機の起動失敗などが報告されている。 続きを読む

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【投稿】パンデミックと経済危機結合の危険--経済危機論(15)

<<「武漢ショック」>>
中国の人口1,100万人の大都市、湖北省の武漢市で始まったとされる新型肺炎が急速な勢いで蔓延し、今や世界的な感染・流行=パンデミックとして拡散している。この武漢コロナウイルスは、これまでにない無症候性の伝染という特異性によって、感染力が強く、重症急性呼吸器症候群として知られるサーズ(SARS)の少なくとも4倍の速さ、5倍の拡がりで人々に感染を拡大させているという。武漢の病院からリークされたビデオの1つでは、実際に被害者が「手に負えないほど震え」、「身もだえしている」深刻さであり、致死率は1/25時点で5%とされていたが、1/27には15%に跳ね上がったという。
 1/27現在、中国国内の感染が疑われる患者は5794人、重症患者は461人、確定患者と密接接触したのは3万2799人にのぼり、1/28時点で死者は132人に上昇している。問題はここまで進行するまでにすでに、旧正月の帰省・旅行シーズンと重なり、約500万人の住民・出稼ぎ労働者が必要な情報も検査も受けることなく武漢を去っており、検疫と封鎖、予防・感染症対策が遅すぎたことである。1/27になってようやく武漢市の周先旺市長が、中国国営中央テレビのインタビューで「(感染状況の)情報公開が遅れた」と認めると同時に「地方政府は情報を得ても、権限が与えられなければ発表することはできない。この点が理解されていない」とも発言し、情報提供の遅れは、中央政府の対応にも原因があると発言している。1/28に訪中した世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長と会談した習近平国家主席は、「透明で責任ある態度で国内外に情報を発信し、国際社会との協力を強める」と述べたが、感染者発見が昨年12/8とされていることからすれば、あまりにも遅すぎた対応と言えよう。(上図は「指数関数的な増大」を伝えるグラフ)
結果として、感染は、アジア圏はもちろん、今や全世界に広がっている。日本でも、渡航歴のない奈良県のツアーバス運転手が東京ー大阪間の武漢からの乗客による二次感染が確認されている。感染していないとして、チャーター機で帰国希望した第一陣206人の内、数人が体調不良を訴え、少なくとも2人は感染の疑いがあるという。事態はどこまで広がるのか、防げるのか、見通せる状況ではなく、「武漢ショック」の進行は、これまでに経験したことのない脅威と深刻さだと言えよう。
武漢市のある湖北省は人口5902万人で、工業生産額の約2割を自動車関連産業が占めており、日本からもホンダの工場が武漢市にあり、中国での生産能力の4割近くが停止し、上海や広州に工場を持つ日野自動車も影響を受け、上海にあるTOTOの二つの「ウォシュレット」工場、京セラの電子部品工場、パナソニックの車載用リチウムイオン電池工場、富士通ゼネラルのエアコン工場、等々も生産停止に追い込まれ、工場ばかりか、武漢のイオンや中国で展開するユニクロの臨時休業は100店舗に拡大している。
当然、中国で展開するグローバル企業も、コロナウィルス対策で右往左往しており、アップルはサプライチェーンの混乱を見通しに織り込み、フォルクスワーゲンは自宅待機、マクドナルドやKFCなどのファストフードチェーンも湖北省で店舗を休業、コーヒーチェーンのスターバックスは中国本土の店舗の半分余りに当たる2000店舗を休業するという事態である。 続きを読む

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【投稿】金融危機到来に近づく異常株高--経済危機論(14)

<<ウソとごまかしのトランプ政権>>
そのあまりにも露骨な政権私物化によって、トランプ米大統領は弾劾裁判に直面している。1/22公表のCNNの世論調査によると、大統領解任賛成が初めて多数派となっている。58%がトランプ氏の権力乱用を認め、有罪判定では女性が59%、男性が42%、証人召喚すべきが69%に達している。解任賛成は、アフリカ系アメリカ人86%、ヒスパニック系65%、白人42%で、共和党支持者に限ると解任賛成は8%にとどまっている。ただし証人召喚に賛成する人は共和党支持者の間でも69%に達している。アメリカ社会の現実と変化する様相が反映されていると言えよう。
事態の変化に焦りだしたトランプ政権は、上院共和党が多数を占めることから、議会審議を妨害し、一気に無罪評決に持ち込むために審理日程の大幅な短縮化、政権スタッフ全員の証言拒否指令等々、あらゆる手段を使って乗り切ろうとしている。トランプ氏にとって最大の懸念が、過激すぎるネオコン路線によって解任されたジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障担当)の証言である。そこで、「国家安全保障上の懸念」なるものを持ち出し、ボルトン氏の証言を機密扱いに変更し、証言の禁止ないしは非公開にまで持ち込もうとしている。
世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)へ出席するため、スイスを訪れていたトランプ氏は1/22の会見で、「国家安全保障の問題がある」としてボルトン証人の召喚拒否の姿勢を平気で述べている。そのやり方、議会軽視、独断専行、虚言癖、ウソとごまかし、政権私物化は、安倍首相と実にそっくり、うり二つである。
1/22のその同じ記者会見で、トランプ氏は、対イラン“トランプ戦争”に関連して、イランのソレイマニ司令官爆殺に対するイラクの米軍基地報復爆撃で少なくとも11人の米軍人がイラクから空輸されたことで質問されている。当初トランプ氏は「アメリカ人は負傷しなかった」と繰り返し述べていたのに、「その発言の矛盾を説明できるのですか」と問われると、「頭痛や他のいくつかの問題があると聞きましたが、深刻なものではありません」と答え、戦闘中の外傷性脳損傷が「脳機能を大幅に破壊」し、「長期的な合併症または死に至る」可能性がある、「潜在的な外傷性脳損傷は非常に深刻だとは思わないのですか?」と畳みかけられると、「彼らは頭痛がしたと聞いた」とあくまでもとぼけている。ウソとごまかしが日常茶飯事と化しているトランプ氏にとっては、これ以上答えられなかったのであろう。 続きを読む

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【書評】三浦英之『南三陸日記』

【書評】 三浦英之『南三陸日記』 (2019年2月刊、集英社文庫、550円+税)

「遺体はどれも一か所に寄せ集められたように
 折り重なっていた。」
「リボンを結んだ小さな頭が泥の中に顔をうずめている。
 細い木の枝を握りしめたままの三〇代の男性がいる。
 消防団員が教えてくれた。
 『津波は引くとき、川のようになって同じ場所を流れていく。
 そこに障害物があると、遺体がいくつもひっかかってしまう・・・』。」
「遺体は魚の腹のように白く、濡れた布団のように膨れ上がっている。
 涙があふれて止まらない。
 隣で消防団員も号泣していた。」
 本書は、震災直後から約一年間、朝日新聞に連載された「南三陸日記」という短いコラム(2012年に単行本化)に、2018年取材の「再訪」を加えて文庫化したものである。
 震災から9年を経た現在ではあるが、本書にはまだその当時の悲惨さ、深刻さを思い起こす文章が並んでいる。その内容は、短い文章の連なりではあるが、心を引きつける。
「誰のために記事を書くのか。
その命題を忘れないよう、毎朝通う場所がある。/津波で骨組みだけになった南三陸町
役場の防災対策庁舎。
危機管理課職員だった故・遠藤未希さん(二四)が、津波の直前まで防災無線で住民に
避難を呼びかけ続けた建物だ。
何度も顔を合わせる人がいる。/ 三浦ひろみさん(五一)。危機管理課の課長補佐とし
て遠藤さんと一緒にマイクを握っていた夫の毅さん(五一)は、今も行方がわかってい
ない。(略)
あの日、公務員の次男(二〇)は、車の中で防災無線を聞いた。『避難しろ』と必死に叫
 ぶ父の声に促され、高台に逃げて助かった。/声は『ガガガ』という雑音にかき消され
 た。
『どうしても彼に伝えてあげたいんです』と三浦さんは言った。/『メッセージ、ちゃ
んと届いたみたいだよって、そして、あなたと暮らせて、私はとても幸せでしたって』」
 ここで著者は立ち止まる。
 「まるで広島の原爆ドームのように、廃墟になった南三陸の町に建つ。/何を書くべき
 か。/答えは『現実』が教えてくれる。」
 本書は、大震災の被害者とともに生活し、寄り添う中で彼らの心を駆けめぐる哀しみ、怒り、絶望、そして少しばかりの希望を描き出す。
 失なわれた命、新たに生まれてきた生命、被災地からの避難や学校や生活の再開等々、本書に載ったさまざまな切り口をぜひ読んでいただきたい。
 ただ巻末に新たに書かれた「再訪 二〇一八年秋」から、少しだけ引用する。上に出てきた遠藤未希さんの夫であったAさんと著者の会話である。
 「Aさんとの会食は取材が目的ではなかったため、私はそれまで未希さんのことにできるだけ触れないようにしていたが、Aさんが突然未希さんについて話し始めたので、私は禁を破って一つだけ彼に尋ねた。
 その回答を、私は一生忘れないでおこうと思った。/私は彼にこう聞いたのだ。
 『今でもやっぱり未希さんのこと、思い出す?』/
 彼は答えた。/『いや、全然』/『全然?』
 『「忘れた」ことなんてないんです。だから「思い出す」こともないんです──』
 そう言うと、Aさんは腕全体で体を隠すようにして、低く声を上げて泣き始めたのだ。」
 今も続くこの現実をどう受け止めて進むべきか。
 時折りしも東北大震災の慰霊式が、来年で10年を迎えるということで政府主催が取りやめになるというニュースが2020年1月21日に出されたばかりであるが、課題はまだまだ山積されたままであることは言うまでもない。本書が、コラムの一ページごとに挿入されている写真とともに、大震災の風化に歯止めをかけるささやかな一歩であることを願う。(R) 続きを読む

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【投稿】中東の激変とドル支配の危機--経済危機論(13)

<<“トランプ戦争”が明らかにしたもの>>
前回で触れた対イラン“トランプ戦争”の意図、それが期せずして明らかにした中東の激変とアメリカの孤立化、ドル支配をめぐる攻防が、これまでとは違った質的に新しい段階をもたらしつつあると言えよう。
第一に、トランプ政権は、キラードローン攻撃によってイランの司令官を暗殺するという無謀かつ危険極まりない冒険主義によって、イランを孤立化させるどころか、逆に中東においてもアメリカ国内においても自らを孤立化させてしまったことである。これは取り返しのつかない、意図せざる結果だとも言えよう。
軍事的には、これまで長年にわたって侵略・占領・支配し、足場を築いてきたはずのイラクから撤退を要求されるという、アメリカにとっては到底受け入れがたい、考えられない事態を招いてしまったことである。
事実、トランプ大統領は、米軍基地撤退を要求するイラク議会の決定に激怒し、「我々は彼らにこれまでに見たことのないような制裁を請求する」と宣言し、次いでイラクの中央銀行がニューヨーク連邦準備銀行に保有する口座へのアクセスをブロックできるとイラクに警告し、脅迫している。米軍の占領初期に、石油省のこの口座が開設され、実質的にすべてのイラクの石油貿易収入がこの口座に保有され、現在の残高は350億ドルだとされている。イラク政府は、支出のために、この口座から毎月20億ドルを引き出しているが、それがブロックされると、支払い不能・デフォルト、財政破綻の事態に直面させられる。
さらに、イラクの米軍基地に駐留する有志連合軍のうち、カナダはイラクにいる500人の兵士の「一部」をクウェートに撤退させ、ドイツは兵員を削減し、デンマークやポーランドなど他のいくつかのヨーロッパ諸国が、イラクの決定を尊重し、彼らの軍隊を撤退させる方針である。残るはイギリスの800人、オーストラリアの300人となる。この事態もまったくの想定外だったと言えよう。
軍事的に予期できなかったもう一つの手痛い現実は、イランの報復攻撃の一環として行われた、米軍のアイン・アル・アサド軍事基地への攻撃は、イラン側のこれ以上エスカレーションしない、死傷者を出さないという配慮から3時間前に通告されていたにもかかわらず、イランがアメリカの目標を非常に正確に爆撃し、しかも米軍側は、発射された13発の弾道ミサイルのただの一つも迎撃して、撃ち落とすことができなかったことである。(上図は、1/8、イランの報復攻撃を受けたイラク北部の米軍アルアサド空軍基地の比較写真、コンクリートの障壁と兵舎が破壊されている。) 続きを読む

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【投稿】明快な判断―広島高裁の伊方原発3号機運転差し止め仮処分決定

【投稿】明快な判断―広島高裁の伊方原発3号機運転差し止め仮処分決定
                           福井 杉本達也

1 広島高裁:森一岳裁判長・伊方原発3号機運転差し止め認める
1月17日、広島高裁:森一岳裁判長は、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを山口県の住民が求めた仮処分申し立てで、広島高裁は、運転してはならないとする決定を出した。決定の中で、原発付近に活断層がないとした四国電力の調査は不十分で、阿蘇山の大規模噴火時の想定も過小評価だと判断した。運転を差し止めの判断は5件目で、うち高裁段階では2件目となる。3号機は定期検査で運転を停止中であるが、司法判断が翻らない限り、運転再開はできない。ただし、差し止めの期間は山口地裁岩国支部で係争中の差し止め訴訟の判決言い渡しまでとした。
伊方3号機をめぐっては、広島高裁が2017年12月、阿蘇山の破局的噴火で火砕流の影響を受ける可能性があるとして、運転をしてはならないとする決定を出したが、同高裁の異議審では取り消されてしまった経過がある。

2 伊方原発の沖合数百mに「中央構造線」の活断層
今回の即時抗告審で一番大きな論点だったのは活断層と火山、特に弁護団が重視したのが、伊方原発の沖合500~700mの佐田岬沿岸に「中央構造線」(MTL)の活断層があるかどうかであった。四国電力は音波調査から、「中央構造線系断層帯」の南側・伊方原発がある佐田岬半島北岸部には活断層は存在せず、活断層が敷地に極めて近い場合の地震動評価は必要ないと主張したが、2017年12月の国の地質調査研究推進本部が断層帯の長期評価を見直し、佐田岬半島沿岸の中央構造線については「現在までに探査がなされていないために活断層と認定されていない。今後の詳細な調査が求められる」と活断層である可能性に言及した。新規制基準では、敷地から2km以内に震源域がある場合、より厳しい設置基準が要求されている。
原告側は、四国電力が音波検査によって確認したと主張する佐多岬半島沖合8kmの断層=「中央構造線系断層帯」と称される断層群はは副次的に形成された「偽物の活断層」にすぎず深部で基盤に達していないとする(抗告理由書3・補充書3:2019.10.15)。一方、本来の「中央構造線」は伊方発電所の600 m 沖付近を通過しており,直近に隣接する伊方発電所は「中央構造線」のダメージゾーンに位置している(早坂康隆広島大大学院准教授資料:2016.11.13)と反論した。
高裁決定は「長期評価の記載は音波探査では不十分であることを前提にしたもの」と指摘。ようするに、伊予灘での四国電力の地震波探査結果から伊予灘でも中央構造線が活動しており、「中央構造線」は四国電力が主張するような、沿岸から8km沖合の離れた断層帯ではなく、活断層の「中央構造線」は佐田岬半島の沿岸すれすれに走っており、「本件発電所の敷地至近距離において、地質境界としての中央構造線自体が正断層成分を含む横ずれ断層である可能性は否定できない」(決定要旨)として、山口地裁岩国支部決定の判断を覆したのである。 続きを読む

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【追悼】吉村 励先生とアサート

2020年1月3日 吉村励先生がご逝去されました。

私は、ゼミ生ではなかったが、卒業後は「労働講座」などで、先生の講演を拝聴して、自らの労働運動の指針としてきました。

「青年の旗」そして「アサート」の編集にあたっては、奈良市西大寺のお宅にも伺い、社会経済情勢、労働運動の課題など多岐にわたるお話を伺うことができました。

 以下に、「青年の旗」「アサート」にいただいた投稿等をご紹介して、先生とのお付き合いについて、思い出してみたいと思います。

 なお、生駒さんから拝借した「学生評論」誌(反戦学生同盟? 1950年10月 第7号)に、「大阪商大事件—昭和18-19年における反戦反ファシズムレジスタンス闘争の記録」という論稿がありました。もちろん、吉村先生の名前も出てきます。 次の機会に、ご紹介したいと考えております。(佐野秀夫)

追記:右上の写真は、2008年4月に訪問させていただいた時の写真ですが、
映像もありました。ご参考まで(MVI_0175

<吉村先生の投稿等リスト> 続きを読む

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【投稿】吉村励先生のご逝去を悼む

【投稿】吉村励先生のご逝去を悼む

             福井 杉本達也

2020年1月3日、吉村励先生がご逝去された。1922年お生まれでなので、97歳であった。先生は1948年に旧制大阪商科大学(現大阪市立大学)を卒業後、同大学副手(現在の助教的立場か)として採用され、1985年に同大学を経済学部教授を最後に退官された。その後、1997年まで奈良産業大学に奉職されておられた。

「大和のつるし柿」
手元に「大和のつるし柿」という先生の退官時の記念論文集がある。これは同大学文学部哲学科の故森信成先生が吉村先生につけられた「あなだ」である。奈良県の諺のようであるが、「みかけは悪いが、味は良い」という意味だそうだ。ところが、森先生のつけられた意味は異なっていて、「へたなりに固まっている」(へた=柿のの萼(がく)が脱落せずに台座のようになったもの)という意味で、吉村先生の将棋が上達しないことを揶揄したものとのことである。将棋と言えば、先生と我々11人で三朝温泉・出雲方面へ旅行した時があった。当時は山陽新幹線もなくディーゼル車が福知山線経由で走っていた。帰りは出雲から大阪まで7時間ほどかかったような記憶がある。行きの列車ではトランプのナポレオンゲームを、帰りの列車内では我々と延々と将棋を指し続けられたことを思い出す。先生はお一人になられた晩年にはサービス付き高齢者住宅に入所されたが、何度かお邪魔した我々の1人と将棋を指すことを楽しみにしておられたようである。

「荷物を積まない帰り車」
先生がある新聞記事を紹介された中に、米国の運送労働者の「荷物を積まない帰り車」というのがあった。道路運送車両法が改悪され、今日の日本のように超勤も支払わず、高速道路のサービスエリアを休憩所として仮眠と時間調整による「ジャストイン・タイム」での配送を強いられ、携帯を持たされて留守の家を何度もAmazonの商品を配達するような運送事業者の実態を見ていると、帰りに車に荷物を積まないで帰るなんてなんともったいないことだと思うかもしれない。「帰り荷がなかったら、何社でも回って営業して帰ってこい」というのが現状である。我々も最初、先生からこの言葉を聞いたときには「損をするのではないか」と即座には判断に迷った。しかし、帰り荷を積んで帰るということは、配達先の地域の運送業者と運送労働者の仕事を奪うことである。互いに仕事を奪い合うことによって、労働者間で競争し合い、最終的に自らの首を絞めることとなる。米国の労働者は労働者間の競争を制限して自らの地位を守っていたのである。先生の学説の根本には一貫して労働者の連帯を追求したことにある。そのためにどのよう賃金形態が理想なのか、労働組合の組織はどうあるべきかを生涯にわたり研究され、労働運動側に提起され続けたのではないか。

ロゾフスキー「左翼労働組合の意義と任務」とG・D・H・コール「労働組合入門」
先生から、「これらの本を読んでおくように」と、書籍リストのコピーを2枚渡された。100冊近くの書籍が並べられていたが、とても非力な個人の能力を超えており、そのほとんどの書物に直接あたることもなく今日まで来てしまった。しかし、その中でわずかではあるが印象に残るものがある。輪読のテーマにした1つがロゾフスキーの「左翼労働組合の意義と任務」があった。「ロゾフスキー」といっても今日ではほとんど名前を知る人もいないであろう。赤色労働組合インターナショナル(プロフィンテルン 1921~1937年)の責任者として組合を指導しているが、「革命的労働組合は社会主義の学校」であり、「改良主義的労働組合は資本主義の学校」であるという言葉がある。労働組合のそれ自身としての独自の価値を認めず、労働組合に特定の政党(共産党)が伝動のベルトをくっつけて政党の政治路線を労働組合に押し付けようとする、いわゆる「伝動ベルト論」である。先生はこうした考え方を一貫して批判され、労働組合は「労働力商品の一括販売の組織」であり、労働市場の過半数を制することによって、賃金、他の労働条件を有利に規制することができると説かれた。その理論的提起が『労働組合と戦線統一』(1972)であったといえる。もちろん同著の中で先生は「半労働組合」としての企業別組合の主体性の欠如を危惧しておられた。先生は「護送船団」を例にして、20ノットの船と13ノットの船が船団を組む場合、船団のスピードは13ノットで進むしかないと述べられておられた。しかし、現在の労働運動の現状を見るかぎり、結果として13ノットどころか3ノット程度にまで速度を落としてしまった結果責任は、企業別組合にどっぷりつかったまま、先生の理論を現実化できなかった我々の実践にある。
もう一冊、印象に残ったものとしてG・D・H・コール(英社会主義団体のフエビアン協会の代表)の『労働組合入門』(1953)がある。日本語版では上下2冊である。なぜか、コールの『労働組合入門』はノートを取ってあった。コールは本の最初の1Pで「労働組合とは、一種または二種以上の職業に就業する労働者の結社をいうのであって、その組合員の日常の作業に関連した経済的利益の保護推進を主要目的として運営する結社である」と書いている。続けて「しかしながら、労働組合がいかにいろいろの事をするといっても、その主要目的の一つがその組合員の経済的利益の擁護でない限りは、いかなる団体でも普通には労働組合とは考えられない」と述べている。ここからは「伝動ベルト論」などのような物騒なものは出てこない。先生がこの本を読んでおけといわれた理由が分かる。

奥様と年に二回の海外旅行
奈良産業大学を退職されてからは、悠々自適の生活をされておられたのであろう。先生は奥様とご一緒に年に2回は必ずと言っていいほどに海外旅行をされていたように思う。行先はヨーロッパや中国方面が多かったように記憶している。ルーブル美術館やウイーン美術史博物館なども見学されたのであろう。西洋絵画の鑑賞について、「やっぱり聖書の物語が分からないと絵画の意味がつかめないね」とおっしゃられていた。「聖○○の虐殺」などという題名では、特に旧約聖書の知識がないと「よくわからない、旧約聖書を読むべきだ」と話されていた。
また、1970年代に、旧ソ連邦のウクライナの首都キエフをご子息を連れられて旅行されている。5月1日のメーデーの行進を見学されたことを昨日のことのように印象的に語られていた。
旅のエピソードとしては、ヨーロッパ方面に旅行されたときに、1本前に出発したツアーの添乗員がツアー客全員の金券チケットを忘れて出発してしまったので、その後に出発する先生夫妻にそのチケットを追っかけて持って行って、添乗員に渡して欲しいと頼まれたとのことである。おかげで旅費の半分ほどがタダになったと話されておられた。
先生の奈良のご自宅には奥様との旅行の写真のスクラップブックが行先別にきちんと整理されて部屋全体を占拠するように並べられてある。お伺いしたときは、必ずその写真を出されて奥様との旅の思い出を懐かしく話されていたことを思いだす。今は主のいなくなった部屋に、まだスクラップブックが鎮座しているのだろう。

 

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【投稿】“トランプ戦争”とドル支配の危機--経済危機論(12)

<<巨大な反戦運動の波>>
トランプ米大統領が新年早々の1月2日(木)夜、イラク・バグダッド時間では3日の朝、「昨夜、戦争を止めるために行動を起こした。」「私の指示で、米軍がテロリストの首謀者を抹殺する完璧な作戦を実施した」と述べ、何の展望もない冒険主義的な対イラン戦争開始を明らかにしたのが1/3であった。それは全く衝動的な大統領選キャンペーンの一つとしての“トランプ戦争”開始宣言であった。大統領選に有利になると踏んだのであろう。しかしそれは思いもかけぬ巨大な反撃に直面することとなった。イランは、ただちに「厳しい報復攻撃」を明らかにしたのは当然であったが、アメリカ国内からの巨大な反戦の波、大運動が組織され始め、どんどん拡大し始めたのである。女性主導の反戦組織であるコード・ピンク(Code Pink)が先頭に立ち、「アメリカのわたしたち市民が立ち上がってそれを止めない限り、この戦争は地域全体を巻き込み、予測できない範囲と潜在的に最も重大な結果の世界的紛争にすぐに変わる可能性があります」と声明で述べ、全国的な抗議を呼びかけたのである。翌1/4には「NO WAR With IRAN !」(イランとの戦争をやめよ)を掲げたデモ、集会、抗議の波が全国主要都市で数多く組織され(1/4だけで約80都市、120か所)、若者や女性、一般市民がエネルギッシュに声を上げたのである。ワシントンのホワイトハウス周辺、ニューヨークのタイムズスクエア、トランプタワーの前での巨大な集会、アルバカーキ、インディアナポリス、メンフィス、マイアミ、セントルイス、フィラデルフィア、シカゴのダウンタウンにそれぞれ何百何千もの大群衆が「戦争をやめよ!」と要求。Code Pinkのディレクターであるベンジャミンさん(Medea Benjamin)は「これまでと今回の大きな違いの一つは、抗議するために非常に多くの若者や、白人はもちろん、非白人の人々もたくさん参加していることです」と述べている。これらの大規模な抗議運動は連日、場所も参加者も日ごとに増大して取り組まれ、1/25には世界抗議デー(Global Day Of Protest, January 25, No War With Iran!)が計画され、この呼びかけには、ANSWER連合、CODEPINK、Popular Resistance、平和のための黒人同盟、National Iranian-American Council(NIAC)、Veterans For Peace、米国労働反対戦争(USLAW)、Women’s International League for Peace and Freedom(WILPF)、米国反戦委員会、平和のための牧師/コミュニティ組織のための宗教間財団、国際行動センター、平和と正義のための連合、世界正義のための同盟(AFGJ)、12月12日の運動、戦争を越えてドミニカ共和国の姉妹/ ICAN、国際非暴力、食糧爆弾および他の多くの反戦および平和組織が加わっている。

上の動画は、ポピュラーレジスタンスのサイトに掲載された「イランへの愛と連帯のメッセージ」(A Message of Love and Solidarity to Iran from the US)と題するワシントンDCでの集会の動画である。 続きを読む

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【投稿】対イラン・中東戦争拡大の危険--経済危機論(11)

<<トランプの冒険主義>>
2020年、新年早々、1/2、米・トランプ政権は、危険極まりない新たな戦争に乗り出した。イランの国民的英雄であるイスラム革命防衛隊精鋭部隊の司令官カセム・ソレイマニ将軍が、イラク軍兵士31人の葬儀に出席し、イラク首相の指揮下にある公式のイラク治安部隊の副司令官であるアブ・マフディ・アル・ムハンデスによってイラクのバグダッド国際空港で迎えられ、車に移動したその車列を突如上空から急襲し、ソレイマニ司令官やイラクの重要民兵組織のトップら5人とともに殺害したのである。日本の真珠湾攻撃のような、宣戦布告なき戦争突入開始爆撃である。
トランプ大統領は、米国時間で2日(木)夜、バグダッド時間では3日の朝、ドローンによる襲撃を承認したことを明らかにし、「昨夜、戦争を止めるために行動を起こした。」「私の指示で、米軍がテロリストの首謀者を抹殺する完璧な作戦を実施した」と述べ、同時に「私たちは平和を愛する国であり、私の政権は世界の国々の間で平和と調和を確立することに固くコミットしています」「戦争も体制転換も求めない」と言い訳がましい発言もしている。
米国防総省は、「大統領の指示で、米軍は、米国指定の外国テロ組織であるイラン革命防衛隊の長であるカセム・ソレイマニを殺害することにより、海外の米国人員を保護するための決定的な防衛行動をとった」と声明で述べている。しかし、ソレイマニが「アメリカの外交官と軍人に対する差し迫った攻撃」を企てたという証拠などはまったく示してはいない。米軍は、すでにこの地域に約60,000人の軍部隊を派遣しており、昨春以来、14,000人を増派、今回さらに約3,500人の増派を進行させている。
戦争を始めたばかりの大統領が、「我々は戦争を求めていない」などとよくも言えたものである。マイク・ポンペオ米国務長官は、「イラクだけでなく、イランの人々は、昨夜のアメリカの行動を彼らに自由を与え、感謝してくれるだろう」と発言し、トランプによって解任されたはずのジョン・ボルトン元国家安全保障特別顧問に至っては、「カッセム・ソレイマニの排除に関与したすべての人にお祝いの言葉を述べます。これがテヘランの政権交代の第一歩であることを願っています。」とまで述べている。傲慢な帝国主義的本性をむき出しにした発言と言えよう。
イランのラバンチ国連大使はただちにこれは「戦争行為である」と断定し、報復の「軍事行動」に出ると宣言、ロウハニ大統領は「米国は自分たちの大きな過ちを理解していないだろうが、今日以降、その結果に直面するだろう」と報復を明らかにしている。イランの最高指導者、アヤトラ・アリ・ハメネイ師は、ソレイマニの死に対する3日間の追悼を宣言し、「厳しい報復が犯罪者を待っている」と述べている。
イラクのアブデル・マハディ首相は、「イラクの指揮官の標的とされた暗殺は合意に違反している。それはイラクと地域で戦争を引き起こす可能性がある。それはイラクにおける米国のプレゼンスの条件の明らかな違反である。」と述べ、すべての米軍の撤退を求める議会緊急会議を呼びかけている。 続きを読む

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【投稿】「過剰と不均衡」の警告--経済危機論(10)

<<米中通商合意の現実>>
米国株式市場は2019年年末、米中両国が12/13に発表した第1段階の通商合意や好調な米年末商戦のデータなどを受けて株価が急上昇し、史上最高値を連日更新し続け、12/27にはダウ工業株30種平均は前日終値比23.87ドル高の2万8645.26ドルの史上最高値の更新で終了した。ハイテク株中心のナスダック総合指数も11日間連続で過去最高を更新している。これに呼応するかのように、東京株式市場も12/30、2019年最後の取引の日経平均株価は前週末から181円10銭下落したが、2万3656円62銭、年末の終値としては1990年以来29年ぶりの高い水準で取引を終えた。これだけを見れば、危機的な景気後退は回避され、経済は順風満帆基調に戻ったかに見える。
しかし事態を冷静に見れば、トランプ大統領によって発動された2年にわたる関税・貿易戦争は、予想外の不安定な株式市場の動揺、米農家の破産の急増、製造業生産指数の明らかな後退といった、今後も深刻な影響を与え続ける犠牲を払ったあげくの「成果」でしかなく、オバマ前政権最後の年の状況に戻るだけ、あるいはそれ以下ということになりかねない。
そもそも今回の合意は、本来あるべき貿易協定というよりも、来年の大統領選を控え、成果を何としても誇示したいトランプ氏側の合意を急がざるを得ない切羽詰まった状況を反映したものが露骨に表れている。米側の12/15発動予定であった追加関税の見送りに対し、いわば中国側が譲歩したかに見える「大規模な輸入合意」が主軸となっている。しかもこの合意で、中国側は来年、500億ドル分の米農産品を輸入する用意があると報道されているが、中国側からは明示されておらず、そもそもアメリカから中国への農産品輸出高は300億ドルを超えたことがなく、生産能力からして疑問符が付き、関税戦争開始前の2016年実績でも214億ドル(米国産の大豆やトウモロコシ、豚肉など)である。
さらにこの米中合意は、あくまでもいまだ「第一段階」、ミニ合意にしかすぎないものであり、「第二段階合意」など今や視野にさえなく、あれほど罪悪視したアメリカの対中貿易赤字は、逆に膨らんでいるのが現実である。自分なら、製造業の雇用を中国から奪い返すことができる、というトランプ氏の公約が果たせる状況など皆無とも言えよう。それでも「第一段階の合意」だけでも一点の光明が見え、危うい株価の上昇に寄与したのは事実であろう。 続きを読む

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【投稿】海自中東派兵の本質―軍事力による海外権益確保に踏み出した安倍政権―

12月27日安倍政権は、海上自衛隊の中東派兵を国会に図ることなく閣議決定した。その根拠は防衛省設置法の「調査・研究」とされ、新規立法は見送られた。これにより部隊の運用に関しては官邸=国家安全保障会議(NSC)が事実上のフリーハンドを握る形となった。

予定ではジプチに駐留する海賊対処用P3C哨戒機2機が1月から、護衛艦「たかなみ」が2月下旬から、2020年12月26日まで任務に就くとされているが、政権の恣意でいくらでも延長できる。

これらの活動は国会に対しては報告義務があるが、閣議決定後と活動終了後という極めて形式的なものとされており、議会は事実上無視されている。派兵部隊がどの海域でどの様な行動を行っているか、リアルタイムで国民は知るすべはない。 続きを読む

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【投稿】「令和」の年号が引用された『万葉集』は本当に“国書”だったのか?

【投稿】「令和」の年号が引用された『万葉集』は本当に“国書”だったのか?
                             福井 杉本達也

和歌は、正月の宮中儀式の一つである「歌会始」にもあるように、過去から現在にいたるまで、天皇との関わりが深い。歌人の内野光子が和歌と天皇制との関係についてブログに書いている。敗戦直後、斎藤茂吉は「聖断はくだりたまひてかしこくも畏くもあるか涙しながる」と歌った。「『天皇に忠誠を表す形で戦争協力歌が量産された。その反省』もないままに…そのまま引き継がれ、さらにその関係は強化されようとしている…その要因は、直接的には、各歌人たちが天皇とつながりたいという名誉欲や自己顕示欲につながるのだが…日本政府はつねに天皇、皇室を政治的に利用しようと目論んでいること、天皇及び周辺も象徴天皇制のもとで天皇家の繁栄持続を願い続け…天皇制は『天皇家の物語』として深く、国民の間に浸透」していると述べる(内野光子:「短歌と天皇制」(2月17日『朝日新聞』の「歌壇時評」)をめぐって(2)2019.3.1)

『令和』の年号は、『万葉集』第5巻・大宰府での梅花の宴の歌32首の 序文中にある「初春令月 氣淑風和」(初春の令月にして、気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ)から採られた。「新元号」は初めて漢籍からではなく“国書”から引用されたという触れ込みであった。しかし、『万葉集』は本当に“国書”だったのか?疑問なしとはしない。

そもそも、日本国(近畿王朝)の正史と言われる『日本書紀』には、天武・持統天皇と同時代を生きた『万葉集』中の最高の歌人「柿本朝臣人麿」の一言半句も登場しない。平安時代:905年頃に成立した『古今和歌集』の選者・紀貫之は「仮名序」において、人麿を「おほきみつのくらゐ(正三位)かきのもとの人まろなむ、歌の聖なりける」と書く。「正三位」とは「星の位」ともいわれ、上級貴族の位階である。「大納言」相当である。奈良時代の長屋王や近代では西郷隆盛らが正三位であるとする。勅撰和歌集の選者である紀貫之が位階を誤るなどとは考え難い。「柿本人麿」も『万葉集』も日本国(近畿王朝)の正史からは抹殺されたのである。“国書”ではあるが、日本国の“国書”ではない。 続きを読む

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