<<40年ぶりの高い伸び率>>
12/10に発表された11月の米消費者物価指数(総合CPI)は、10月に引き続き上昇、前月比では0.8%、前年比では6.8%の上昇となり、実に約40年ぶりの高い伸び率を記録した。食料やエネルギーなどを取り除いたコアCPIでも前年比4.9%の上昇に加速、30年ぶりの大きな伸びとなった。1982年以来となる大幅な上昇である。
家庭用家具・備品や衣料品、航空運賃の値上げが11月の物価上昇につながり、生活必需品の値上がりに加え、食品も前年同月比6.4%上昇と、08年12月以来の大きな伸び、ガソリンは前月比で6.1%上昇、家賃は前月比0.4%、前年比3.5%の上昇であった。
食料品価格で最も上昇したのは肉、鶏肉、魚、卵のカテゴリーで、全体では13%の上昇、特に牛肉は21%も上昇。ファストフードのコストは7.9%増加。ガス代は25.1%の上昇であった。航空運賃指数は、ここ数ヵ月間低下していたが、11月には4.7%上昇し、上昇に転じている。自宅以外の宿泊施設の指数も、10月の1.4%上昇に続き、11月は2.9%上昇。自動車関連の指数も11月は引き続き上昇、新車指数は、10月の1.4%上昇に続き、11月は1.1%上昇。家庭用家具・業務用の指数は、11月に0.8%上昇し、10月と同じ上昇率、アパレル指数は、10月の横ばいから11月は1.3%の上昇。明らかなことは、こうした一連のCPIの加速率が極めて高くなっていることである。
さらに、インフレの要因が、パンデミックの影響を受けたいくつかの分野だけではなく、ますます広範囲に及びだし、経済、生活全般にインフレが襲い掛かっている状態である。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が、11/30の米上院銀行委の証言で「インフレが一過性であるとの表現を削除するのが妥当な時期が来た」と述べざるを得なくなって、十日も経たないうちにFRBの予測や市場予測をさえを上回る事態である。バイデン大統領は、こうした統計発表後の声明で、言い訳がましく「今回のデータ集計後、物価上昇の半分を占める自動車やエネルギーの価格は下がり始めている。」と述べ、「物価抑制が私の政権の最重要課題だ」とあらためて強調している。
問題は、実際には、現在のインフレ率は報道されているものよりもはるかに高く、40年近く前の1982年のCPIをも上回っていることである。1982年のCPIには、所有者の住居費を表す住宅価格が含まれていたのであるが、現在ではそれが除外されており、非市場家賃指数に置き換えられている。家賃が3.5%上昇したのに対し、住宅価格は過去1年間で20%近くも上昇している。CPI全体の約3分の1を占める住居費で、1982年基準の住宅価格を加えるとCPIは11%になるのである。
<<「危機」発生の加速剤>>
そして、追い打ちをかけるのが実質賃金の減少である。アメリカでの1時間あたりの平均収入は、1時間あたり31ドルと過去最高で、2021年11月の平均時給は、前年同月比で4.8%上昇したにもかかわらず、インフレ率が6.9%であるため、インフレ調整後の実質平均時給は11月に前年同月比1.9%減少し、6カ月ぶりの大幅減となっている。実質的な収入の伸びは過去8ヵ月間連続のマイナスであり、2021年11月の前年同月比ではマイナス2.1%の実質賃金の減少である。当然、インフレは労働者の購買力を低下させ、日々の生活費の上昇に賃金が追いついていないのである。
平均的な市民の経済的状況を判断する指数として、悲惨指数(Misery Indexミザリーインデックス)というものがあり、季節調整済みの失業率に年間インフレ率を単純に加えて算出されるのであるが、11月の失業率が4.2%であることから、米国の悲惨指数は10.82となり、今年6月以来の高水準で、2008年の金融危機で失業率が急上昇した際の悲惨指数と同様の水準となっている。
その一方で、富裕層の資産は急上昇しており、格差拡大は目を覆うばかりである。アメリカ社会の上位10%に属する富裕層が、2021年段階、株式市場の89%という記録的な数字でコントロール、支配しており、インフレ率の上昇に先立ち、株式市場のダウ・ジョーンズ指数は昨年から20%も上昇、富裕層の資産を急拡大させている。それはしかも、コロナ禍のパンデミックの最中に稼ぎ出され、2020年は世界の億万長者の資産の記録上のシェアが最も急増した年となったのである。最も裕福な1%の超富裕層は、1995年以降に蓄積されたすべての追加資産の3分の1以上を獲得したのであるが、下位50%はわずか2%増にしかすぎず、この不平等極まれりの事態は、2021年、さらに拡大していることは間違いないであろう。デイビッド・グレーバー(David Graeber)が10年前のウォール街占拠運動で明示した「1%対99%」の対決構図、「私たちは99%だ(We are the 99%)」 は、より鮮明に立ち現れてきているのである。
日本のインフレはこれからが本番だと言えようが、すでに事態はインフレ高進不可避を予測させている。12/10に日銀が発表した11月企業物価指数によると、輸入物価指数は契約通貨ベースで前年比35.7%の急上昇である。円ベースでは同44.3%にもなっている。41年ぶりの上昇率を記録している。鉄・建材などの中間材価格は前年同期比15.7%上昇、これも41年ぶり。自動車・パソコンなどの消費財は5.0%上昇、工場用機械などの資本財3.3%上昇、共に40年ぶりの上げ幅である。すでに11月から家庭用冷凍食品や食用油などの値上げが実施されており、電気、ガス料金も値上げが待ち構えており、円安が継続すれば年明けの追加値上げがさらに広範囲に予測される事態である。
インフレ率が高進し、大幅に上昇した状況にもかかわらず、米欧、日本を含め、金融市場の利回りは途方もなく低いままやり過ごすことがいよいよ不可能な事態に追い込まれてきたのである。ゼロ金利と量的緩和政策の導入は、米国と世界の金融市場を根本的に歪め、金融資本主導のマネーゲームの横行を許し、株価のバブル的な高騰と投機的過剰を解き放ち、異常な格差拡大をもたらしてきたのである。しかし、そこからいよいよ脱出すべき出口戦略が問われている現在、現状の中央銀行、各国政府当局者たちには明確な戦略を何も持ち合わせていないのが現状である。これまで強気で市場のバブル化を推進してきた、同じ当局者が金利引き上げや市場引き締めに動き出せば、それが市場の不安定化から、さらには崩壊へと、「危機」発生の加速剤となることは明らかである。引くに引けない、進むに進めない、まさにニューディールへの根本的政策転換こそが問われていると言えよう。
(生駒 敬)


朝日新聞によると、「安倍晋三元首相は1日、台湾で開かれたシンポジウムに日本からオンライン参加した。緊張が高まる中台関係について、『台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある』と述べ、中国側が軍事的手段を選ばないよう、自制を促す取り組みの必要性を訴えた。」と報道した(朝日:2021.12.1)。これに対し中国はすかざず反撃した。12月3日の『中国網』は、「中国外交部の華春瑩部長助理は1日夜、日本の垂秀夫駐中国大使と緊急に面会し、日本の安倍晋三元首相の中国関連の間違った言論について厳正な申し入れを行った。」と報道した。また、中国国際問題研究院アジア太平洋研究所の客員研究員である項昊宇氏の『環球時報』における発言を引用して、安倍氏は「『台湾当局に間違ったシグナルを発信しただけでなく、日本国内と国際社会に危険な情報を伝えた。その結果、『台湾独立』勢力を増長させるばかりか、台湾地区の一部の人物に情勢を見誤らせ、中日関係と日本自身の国家安全を危険な境地に陥れる』」とし、「『これは本質的には日本の右翼の間違った歴史観を反映したものだ。日本の一部の人物はまだ過去の植民地支配時代の古い夢に浸り、台湾地区を『自宅の裏庭』と見なしている。』」とし、さらに続けて「『安倍氏が台湾海峡の緊張を喧伝し、対立を煽ることにはさらに特殊な政治目的がある。これはつまり改憲と強軍の機運を高めるということだ。』」とした。














IMFは、「感染レベルが非常に低い国であっても、ウイルスが他の場所で循環している限り、経済の回復は確実ではないと警告する。本報告書では、世界的な見通しを強化するために、国際的な行動が必要であるとしています。当面の優先事項は、ワクチンを世界中に公平に配備することであるとしています。「協調した適切な政策は、すべての経済が永続的に回復する未来か、断層が広がる未来かの違いを生み出します。多くの国が健康危機に苦しみ、一握りの国は、再燃の脅威にさらされながらも状況が正常化するのです。」と述べる。

10月6日の福井新聞(共同通信)によると「中国軍、台湾防空圏に56機」という見出しで、習近平指導部は「台湾南西域で台湾への軍事的な圧力を強化」したと報じている。記事の中段以降を見ると、「中国に近い西太平洋での空母3隻の同時展開は『1996年の台湾海峡危機のときに米軍が派遣した空母2隻を上回る歴史的な事態』と受け止めている」とある。当該記事の横には「護衛艦で米戦闘機発着…いずも空母化へ試験」という見出しもある。海上自衛隊の10月4日付けの「日米英蘭加新共同訓練について」(10月2・3日)のプレスリリースでは、参加空母は米海軍の「ロナルド・レーガン」、「カール・ヴィンソン」2隻と英海軍の「クイーン・エリザベス」そして、海上自衛隊の準空母「いせ」で、空母は4隻であり、海自のプレスリリ-スでも写真を公開している。産経10月9日付けの記事では防衛省提供の同4隻の共同訓練の写真が掲載されている。また、クリミア半島のロシア領海を侵犯しし、艦先に警告の爆弾を投下された札付きの英海軍・駆逐艦「ディフェンダー」も空母に随行している。こうした日米英蘭加による中国本土近海での挑発行為に対し中国軍機が反応することは当然といえる。上記、福井新聞(共同通信)の記事に見出しは、ことさらに中国の脅威を煽るものであり、挑発しているのは日米英蘭加軍の方である。
今回の「パンドラ文書」の取材プロジェクトには、日本からは朝日新聞と共同通信が参加しており、10/4付け朝日新聞によると、「日本の政財界人も多数登場、ソフトバンクの孫正義氏や内閣官房の東京五輪・パラリンピック推進本部の事務局長を務めた元通産官僚の平田竹男氏ら、「登場する個人や法人は千を優に超える」という。取材に答えた企業の関係者は、「それ(脱税)以外の理由でタックスヘイブンに親会社を作る会社はありますか」と開き直っている。

同書簡は、中国との地政学的な軍事的緊張を危険なまでに激化させるQuadの同盟と先のAUKUS同盟を非難し、このような軍事的競争の激化は、事故や誤算が破滅的な戦争へとエスカレートする危険性を増大させるだけでなく、核兵器、気候変動、パンデミックといった実存的な脅威を克服するための米中および広範な国際協力の可能性を著しく損なうものであり、AUKUS同盟の交渉と発表は、まさに地政学的に危険な転換点である、と指摘している。
その中で、これは本当なのかという、意外な驚くべき事実が暴露されている。それは米国防総省・ペンタゴンのマーク・ミレイ統合参謀本部議長(陸軍大将)が、中国・人民解放軍の李大将に一度ならず二度までも極秘の電話をかけていたというのである。一度目は、米大統領選投票日のわずか4日前、2020年10月30日。そして2回目の電話は、トランプ支持者が国会議事堂を襲撃した2日後の1月8日に行われたという。その際、ミレイ氏は、自国が中国を攻撃する可能性を示唆し、もし攻撃する場合には「事前に相手に警告する」と述べ、「核兵器で攻撃することはないが、攻撃する場合は通知する」と述べたというのである。